中小企業の間で、成長戦略の一環として「海外展開」への関心が広がっています。国内市場の縮小や人手不足などを背景に、新たな活路として海外に目を向ける企業が増えている一方で、「うちにはまだ早い」「ノウハウも人材もない」といった不安から、一歩を踏み出せずにいるケースも少なくありません。
本稿では、なぜ中小企業が海外展開を考えるべきなのか、その第一歩へのヒントをお届けします。
なぜ今「中小企業×海外展開」なのか?
「2024年版中小企業白書」(※1)の調査によれば、海外向けに直接輸出している中小企業は21.0%、直接投資を行っている企業は14.2%です。
海外展開の理由には「販路拡大」「海外需要の取り込み」「売上増加」などが上位に挙げられており、特に円安が進行する局面では、相対的に輸出しやすい環境が整うことも背景にあるようです。アジア圏を中心に海外の現地パートナーとの連携ニーズも高まっており、中小企業にも自社の製品やサービスを海外市場で活用するチャンスが拡大しています。
こうした傾向は、従来の「海外展開は大企業のもの」という見方に変化が生まれ、「わが社にも可能性があるかもしれない」と捉える企業が増えていることの表れと言えるでしょう。
中小企業が海外展開するメリット3選
1. 販路拡大・売上増加
国内市場が縮小傾向にある中、海外展開は新たな収益源となる可能性があり、「2023年版中小企業白書」(※2)には、海外展開によって売上高・経常利益が伸びたという調査結果が掲載されています。
さらに、現地のニーズに合わせて製品やサービスを調整することで、企業自身の強みに改めて気づく場面もあるでしょう。近年では、eコマースを活用した越境BtoC展開も販路拡大のいち手段として選ばれるようになってきました。
2. 戦略的なリスク分散
人件費や原材料費が比較的安価な国に製造を委託することでコストを抑えたり、為替や物流リスクを分散させたりといった経営の安定化が期待できます。特定の地域やチャネルへの依存から脱却し、事業継続計画(BCP)を強化する動きとしても注目されています。
3. 人材・技術の取り込み
現地採用により国内の人手不足を補ったり、文化や価値観の異なる人材から新たな視点を得たりすることで、社内のイノベーションが期待されます。さらに、海外展開で培った経験やネットワークが、将来の成長を支える土台となることも多いようです。実際、中小企業の中には、現地人材の登用によって海外市場との接点を広げ、マーケティング力やサービス品質の向上につなげた例もあります。現地との接点を強化することで、リクルーティングや市場理解におけるボトルネックを解消する効果も期待できます。
海外展開の一例
実際に海外展開を果たした中小企業には、さまざまな事例があります。
例えば、展示会への出展やSNSを活用した情報発信によって販路を開拓し、欧州市場に自社製品を展開した製造業の企業が見られます。飲食業では、日本文化への関心が高いエリアをターゲットに、現地の調達支援や専門家による助言を受けながら出店に至ったケースもありました。さらに、Webサイト制作やブランディング業務を手がけるIT企業がタイに進出し、現地企業と協業して案件を獲得した事例も確認されています。
このように、業種や商材に応じて展開方法は多様であり、さまざまな事例を学ぶことは「海外展開=大きなリスク」という思い込みを払拭するきっかけになるはずです。
海外展開の具体的な事例は、中小企業白書(2023年版、2024年版)など、公的資料にも多数掲載されています。関心のある方はぜひご覧ください。
専門家の支援、パートナーを活用しよう
海外進出には、進出準備から現地でのパートナー探しまで、企業のステージに応じた支援制度が整ってきており、「まず相談から」という一歩を後押しする環境が広がりつつあります。「興味はあるけれど、自社だけでは無理」と感じる方にこそ、支援制度の活用がオススメです。
りそなグループでは、現地会計士や弁護士、不動産仲介業者の紹介をはじめ、補助金申請のサポートや初期段階からの相談受付など、金融機関ならではのネットワークを生かしたサポート体制を整えています。
他にも、JETROや中小機構では、海外展開に向けた情報提供や専門家派遣、マッチング支援などを行っています。
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