「自前で海外進出」が失敗しがちな理由

日本国内は人口が緩やかに減少していく中、海外を志向する中堅・中小企業が増えています。しかし、現地法人や事務所の運営・管理体制をしっかり構築しないままに進出してしまい、あとあと大きな問題を抱えてしまう企業も少なくありません。中国やASEAN諸国に拠点を持ち、グローバルビジネスのコンサルティングサービスを提供する、みらいコンサルティンググループにお話を伺いました。

企業の海外進出で必要な管理体制づくり

企業が海外へ進出して現地法人を設立する際、事前の組織・管理体制づくりがまず必要になりますが、大企業と中小企業ではまったく事情が違います。大企業は人材も豊富ですし、資金もそれなりにあります。しかも、内外の管理体制も整っているので、大企業に限ってみると問題は少ないでしょう。

しかし、中堅・中小企業ですと、海外進出が初めてというケースが多く、大半の企業は手探りでスタートしています。私たちのようなコンサルティングファームや会計事務所など、外部の力を借りる以前に、まず自力でお金をかけずにやろうとするのです。本社で現地代表者を決めると、その方が赴任し、現地でスタッフを採用します。業種によって違いはありますが、たとえば中小の貿易会社や小売サービス業などは、とうてい管理体制が整っているとはいえないような状態で始めています。事業を進めながら定期的に本社へ報告すればいい、という調子でしょう。

メーカーの場合、工場設立ですと、いきなり100人から200人を雇用する、というケースもあります。事前に組織・管理体制をつくっておく必要があるのですが、準備ができていない企業が圧倒的に多いのが現実なのです。

「自力で資金をかけずに」では成功確率は低い

海外とのビジネス、海外進出、現地法人の経営は、経験がないとかなり難しいと思います。本社がある程度関与して体制をつくっていくべきですが、派遣した従業員に任せきりにすることが多いようです。そうなると、その従業員の能力に依存してしまいますから、海外赴任者向けの最低限の研修は当然として、それ以前にグローバル人材を何年もかけて長期的に育成しておくことが大前提なのです。

現実は、海外に現地法人をつくると決まると、行きたいと手を挙げた従業員の中から選抜するパターンが多いようです。そうしますと、たとえば技術畑の人は管理を知らない、営業畑の人は財務を知らないまま事業を始め、すぐに頓挫するというようなことになりかねません。

このようにしっかりとした体制をつくることなくスタートしたケースでは、当社(みらいコンサルティング)へ相談に来られるのは、問題が顕在化してからということになります。まずは自力で、なるべく費用をかけずにスタートさせたい、という会社が多いのですが、スタートの体制がしっかりしていないと、後でコストが高くつくことにもなりかねません。自力での進出で成功できるのは、全体の1〜2割程度だと思います。

現地法人の代表になって赴任される方には、それまで会社経営全般を見ていた方はほぼいません。一部門のマネージャーが多いようです。それでも経営管理のご経験はあるわけですが、海外に行った瞬間に守備範囲が大きく広がります。野球でいえば、ピッチャーもショートもセカンドも外野もと、1人9役以上の役割が押し寄せます。自分のコーチング経験とリソースだけで対応するのは困難です。やはり、当社のように税務会計、人事制度、経営管理からブランディング、販路開拓、サプライヤーとの交渉など、現地の法規制の解釈を含めたすべての領域でサポートできる外部の企業と組んで立ち上げることが効率的だろうと思います。

下の図にあるように、進出前から実際の運営、さらに撤退まで、海外拠点ではさまざまなニーズがあります。

海外拠点に関する主な相談内容

本社と現地法人の相互理解のために

同じ経営課題に対して本社から見る重要性と、現地から見る重要性には差があります。問題解決方法があると本社が考えても、日本でできる方法が現地ではできないこともあります。また、本社は現地の特色を理解する必要があります。お互いに理解できる環境を本社側がつくることも重要です。

このような相互理解の環境のある会社とない会社では、本社と現地法人のコミュニケーションの円滑度がかなり違います。数年経ちますと、この差がさらに大きくなり、やがて話が通じないので本社にあまり詳しく報告をしなくなります。本社と現地法人とのコミュニケーションの促進をサポートすることも外部の私たちのようなコンサルの役割でしょう。

中小企業で一番の問題は人材が足りないことですね。中小企業にとって解決が最も難しい問題です。

どのような職務を担当してきた人が現地法人の社長になるのか、という経路にもよります。現地で営業を担当し、そのまま社長に就任すると、会社の財務どころかお金の受け渡しや送金など、経理の仕組みも承知していないというケースもあります。そういう状態で現地の従業員を雇用して業務を任せると、やがてお互いの認識不足から大きな経営問題が起きてしまいます。あらかじめ本社で起こりうる問題を整理し、組織を構築することが必要なのです。

長期的な人材育成は別として、海外進出の初期の準備段階で立ち上げのためのお金の使い方を検討し、予算化しなければなりません。現地の従業員の採用をいつから、どのように開始するのか、私たちのようなコンサル会社を使うのか、自力でやるのかなど、十分に検討する必要があります。

りそなBiz Actionではこれらの資料もご用意しております。ぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2025年12月26日時点の内容となります。
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