創業は戦後13年目の1958年、日本企業のアジア進出など、まったく考えられなかった時代にインドネシアで創業したプルダニア銀行は、親会社大和銀行の90年代後半の経営危機、その後2003年の「りそなショック」も乗り越えて、なんと68年間、彼の地に根を下ろし、銀行事業を継続して成長を続けています。その秘密を2024年から社長を務めている中尾圭助氏にお話しいただきました。

中尾 圭助
りそなプルダニア銀行 社長
1973年生まれ。1995年4月に大和銀行(現・りそな銀行)へ入行。江坂支店、名古屋駅前支店、堂島支店での勤務を経て、2003年より、りそな銀行堺東支店渉外課長に就任。上六支店マネージャー、大阪西区支店グループリーダー、長岡天神支店支店長など、国内拠点の要職を歴任。海外ビジネスにおいても豊富なキャリアを有し、2009年にインドネシアのりそなプルダニア銀行へゼネラルマネージャー(営業部長)として約4年間勤務。2018年からは同行コミサリス(監査役)を務め、帰国後、2022年4月にりそな銀行国際事業部部長に就任。2024年4月から現職。
りそなプルダニア銀行の生い立ちと発展の歴史
1958年の創業時は日系企業がゼロの状態でしたので、最初は100%地場のお客さまでした。その後、70年代から80年代にかけて日系企業のインドネシア進出ラッシュがあり、それに伴って徐々に日系企業と地場企業の割合が変化してきました。ここ数年は、ほぼ半々という比率を維持しています。
現状でバランス良く日系企業にも地場企業にもサービスをお届けできていると考えています。ただ、インドネシアが経済成長を続ける中で、地場銀行も体力をつけて充実したサービスを提供できるようになっています。その中でなぜ地場のお客さまが68年の歴史があるとはいえ、外資系である当行を選んでくださるのか。
それは、日本に向けてビジネスを展開したい、日系企業とすでにお付き合いがある、あるいは日本から製品や部品を仕入れているなど、何かしら日本との接点をお持ちのお客さまが、当行のサービスに付加価値を見いだし、門を叩いてくださっているのです。したがって、現在は「インドネシア企業ならどこでも対象にする」という全方位戦略は取っていません。日系企業との取引があることで、私たちが明確な付加価値をご提供できる地場企業をターゲットに、顧客基盤の拡充を図っています。
数字で申し上げますと、日系企業が約50%、完全な地場企業が約30%、そして日本との関係性を有する「日系関連・非日系企業」と私たちが呼んでいる層(日系企業との資本関係や何らかのビジネスの関係を持つ、地場企業)が約20%という割合になっています。
東亜銀行から横浜銀行へ、そして生み出されるシナジー
2019年に大株主が香港の東亜銀行から横浜銀行に変わりましたが、当行の基本戦略自体は変わっていません。もともと「日系企業と地場企業にしっかりとサービスをお届けする」という方針で歩んできており、今後もそれは変わりません。1998年に当時の親会社である大和銀行が海外からの撤退を決めたとき、香港の東亜銀行に大変お世話になりました。当時から親密な関係があった中、当行の株式を大きく引き受けていただいたのです。東亜銀行は30%の株式を保有する支配株主となりましたが、当初はあまり経営方針や執行には口を出さず、懐深く見守ってくださる株主でした(配当はしっかり求められましたが)。
しかし時間の経過とともに、東亜銀行の意向と、私たちがこれまで築き上げてきた「日系と日系関連企業、そして地場企業へサービスを届ける」という方針に少しずつズレが生じてきていました。そこで丁寧な話し合いが行われた結果、株式を売却したいというお話になり、私たちの考え方に賛同していただける新たなパートナー探しが、本社主導で行われました。その結果、横浜銀行に手を挙げていただいたという経緯です。

横浜銀行は、日本国内、特に神奈川県内では、りそな銀行本体と競合するコンペティターです。しかし、インドネシアには横浜銀行のお客さまである日系企業が多数進出されています。インドネシアにおいて、横浜銀行のお客さまにしっかりとしたサービスを展開したいというニーズと、当行の戦略が合致したのです。
次の10年を見据えた経営の方向性
当行は、大きく分けて2つの柱を立てて次の10年を展望しています。今後さらに成長していくためには、既存ビジネスの深掘り(オーガニックな成長)と新しいビジネス領域へのチャレンジ(インオーガニックな成長)、この両輪が不可欠であると考えています。
まず既存ビジネスの深掘りについてですが、当行は68年という非常に長い歴史を持ちながら、完全に法人向けのサービスのみを提供してまいりました。創業当時の1950年代は日系企業が一切進出していない環境でしたので、地場のお客さまだけの市場からスタートし、法人向けに特化してノウハウを蓄積してきました。これは他行にはない独自の歴史です。この法人向けサービスという強みを、今後もさらに磨き上げて成長させていきます。
その上で、社内の事業計画や理念の共有の機会など、あらゆる場を通じて従業員に徹底して伝えているのが、「顧客起点に立った行動の徹底」というマインドセットの醸成です。お客さまや社会から必要とされなければ、私たちに存在意義はありません。
お客さまが本当に求めているものは何かを起点に考え、そこからサービスをしっかり組み立てていく。そして、法人向けサービスのラインナップをさらに拡充し、現在お取り引きいただいているお客さまのエコシステムと我々のエコシステムをより大きな輪へと育てていく。これが銀行としてのスケールアップにつながると確信しています。また、数年かけて社内のリソースをしっかりと再配置して足腰を固めたいと考えています。これがオーガニックな成長に向けた10年間の方向性です。
2つ目の柱が「新しいチャレンジ」です。当行はこれまで法人向けのサービスしか手掛けてきませんでした。しかし、親会社りそなグループは長期ビジョンとして「リテールNo.1」を掲げており、個人のお客さまから法人のトップ企業に至るまで、幅広い層にサービスをお届けし、お客さま・地域社会から強い支持を得ています。
インドネシアにおいても、この「リテールNo.1」の精神に準じた成長戦略を近い将来掲げたいと考えています。法人のみならず、個人を含めた幅広いお客さま層へのアクセスを強化し、インドネシア経済や地域社会への貢献度を高めたい。また、より幅広いお客さまに支持される銀行へと成長を図りたいと考えています。これらが、この先10年を見据えた大きな目標です。
とはいえ、自分たちだけでゼロからリテール部門を立ち上げるのは容易ではないため、銀行という枠にとらわれることなく、他業種を含めた連携や、M&Aなどの手法も視野に入れながら、現在研究を重ねています。親会社りそな銀行とも連携の上、今年度中には方向性を打ち出したいと考えています。
りそなBiz Actionではこれらの資料もご用意しております。ぜひご活用ください。


