海外拠点設置後に直面しがちな課題とは?

海外に進出する際には、進出までも大変なのですが、その後の運営でも日本とは違った問題が起きがちです。海外に進出した中堅・中小企業はどういったポイントに気をつけるべきなのか、中国やASEAN諸国に拠点を持ち、グローバルビジネスのコンサルティングサービスを提供する、みらいコンサルティンググループにお話を伺いました。

海外拠点スタート後の課題

首尾よく海外拠点での事業がスタートしたとして、優秀な人材を採用して定着させることは大きな課題です。そのためには、現地従業員のモチベーションの維持が重要になります。日本では長期雇用が現在も主流ですが、海外ではご存じのように、何度も転職してキャリアアップしながら収入も上げるというスタイルが一般的な国が多いのです。このような文化のなかで人材を確保し、雇用後はモチベーションを維持、向上させなければなりません。国によって違いはありますから、給料だけでなく、企業価値の共有、社内人間関係の構築のサポート、人事評価の仕組みづくり、目標管理など、よく検討して制度設計することも重要です。

よくある相談内容

上の図は、海外に進出している日本企業から、われわれに寄せられる相談で、よくあるものをまとめたものです。従業員の不正事案については、就業規則に反する行為や、刑事事件にいたる事案も出てきます。ただし、その企業の管理体制にも問題があるケースが多いと思います。スタッフを信頼しているのでしょうが、性善説で経営を成り立たせていると不正事案が起きやすいのも事実。会社の仕組み自体を、不正が起きないようにしていく必要があります。

海外で最も多い不正事案はキックバックでしょう。購買担当、倉庫担当のような業務に従事する従業員が、調達先に口利きしてその会社から裏でお金をもらう、といったケースです。調査してすぐに証拠が出てきて発覚することもありますが、基本は当事者の告白が必要ですのでなかなか摘発が難しい。もちろんお金をかけて、デジタル・フォレンジック(デジタルデバイスに記録されたデータを調査・分析して不正行為の証拠を明らかにすること)の技術によってパソコンやスマートフォンのデータを解析して証拠を集めることも可能ですが、日系企業はそこまでコストをかけないことが多い印象です。

キックバック以外の不正事案には、家族の会社をトンネルにするケースも中国では多いです。調達する際、家族の会社を通して仕入れる、または家族の会社を通して売り上げる、つまりトンネル会社をつくってそこに利益をプールするという手口です。在庫の横流しもありますが、これも在庫管理がきちんとしていないから起きるわけで、やはり社内管理体制の充実は非常に重要なのです。

次に注意すべきは財務の粉飾です。ちゃんと調査すれば粉飾はすぐに発覚しますが、日本の本社が海外から報告される財務諸表を信じこんでしまうと調査の機会を失って、なかなか発覚しません。資金繰りに行き詰まり、金融機関から指摘されるなどの事態になってから、ようやく本社が重い腰を上げて調査することもあります。事業が順調なときに本社が現地を放任し、悪化してから気づくというパターンです。

性悪説で管理体制をつくること

こうしたトラブルがいったん起きてしまうと、リカバリーに大変なコストと時間、人手を要します。中堅・中小企業の場合、スタートアップ初期にお金をかけられないという問題はあるにせよ、しっかり組織を組み立てて管理体制を構築すべきです。安い現地のコンサルに外注して失敗し、途中で他のコンサルに切り替えて、かえって高くついたというケースも少なくありません。

管理体制づくりでは、まず特定の人物に権限を集中させない仕組みをつくってください。性悪説を基にするのです。これはどの国でも共通だと思います。自分の業務を一人で抱え込みたくなる人は少なくなく、特にベトナムではその傾向があります。ですから、会社の仕組みとして、権限をある程度分散させて情報を共有する体制を構築することが重要になります。

本社側の大きな課題

本社は、現地のことを常に気にかけるべきです。任せっきりはダメです。経営数字だけを見るのではなく、現地法人が今どういう状況に置かれているのか、困っていることは何か、といったことを感度高く受け止めて、双方で解決に向かうことです。波風が立つような事案の場合は、あいだにコンサルやパートナー企業を入れ、伴走してもらうと円滑に進みます。

そして、将来は経営の現地化を進めることが成功するポイントです。経営の現地化のためには、信頼できる現地の人の採用が必須です。現地採用の従業員がそのまま幹部に育つこともありますが、本社で優秀な海外人材を採用して、時間をかけて経営幹部に育成し、会社のパーパスを浸透させたうえで、同じ志を持った仲間がやがて現地法人の経営者として活躍するというのが理想的ではないかと考えています。

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2025年12月26日時点の内容となります。
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