不動産レポート2025年秋(関西版)

3か月に一度、マーケット情報や不動産に関する市況、最新のトピックスなどをお届けします。本記事は2025年秋に発行された、関西向けの内容となります。

【Market REVIEW】良好な資金調達環境を背景に不動産投資市況は好調が継続

  • 金融機関の融資姿勢は緩和的な状態が続いており、全産業・企業規模別での不動産業における貸出態度判断DIはいずれもプラスとなっています。また、金融システムレポート(2025年10月)によると、不動産業向け貸出残高も増加が継続しており堅調な資金需要に応えています。
  • 世界的には低金利環境にあるほか、良好な資金調達環境を背景に国内の不動産投資市況も好調感が続いています。JLLによると、2025年上半期の国内不動産投資額は前年同期比+22%と増加傾向が継続しています。海外投資家による投資額割合も34%に達し、上半期としては過去2番目の水準となりました。また、ニッセイ基礎研究所によると、アジア太平洋地域における都市別投資額ランキングでは東京が1位を維持し、大阪は7位となっています。横浜、福岡、名古屋においても15位以内にランクインしており、国内主要都市への関心の高まりがうかがえます。

世界経済は緩やかに減速の見通し

  • 世界的に政策転換が進む中、IMFによると世界経済成長率は2025年は3.2%、2026年は3.1%となり、前回(7月)時点から小幅に上昇修正されました。米国の関税引上げ後の協定により極端な影響は緩和されたものの、貿易政策の不確実性の高さなどが押し下げ要因となっています。
  • 日本の経済成長率は、2025年に1.1%へ加速した後、2026年には0.6%に減速する見通しです。外需の減速が予想されるものの、実質賃金の上昇が個人消費を支えることがプラス要因としてあげられます。

店舗賃料は上昇基調が継続

  • 日本不動産研究所、ビーエーシー・アーバンプロジェクトによると、インバウンド需要が高いエリアでは出店意欲もみられ、引き続き好調感がうかがえます。心斎橋の1階店舗賃料では前期比で低下していますが、プライムエリアでは空室がなく、周辺エリアでの募集物件増加の影響とみられます。オーバーツーリズムの問題はあるものの、依然としてインバウンドによる影響が大きくなっています。
  • 商業動態統計調査によると、2025年8月の小売販売額は、自動車販売やECなど無店舗小売業の不振など影響で42か月ぶりに前年比マイナスとなりました。しかし、9月では前年比+0.5%(速報値)と上昇に転じています。

マンション価格は上昇が継続

  • 東京カンテイによると、近畿圏の70㎡あたり中古マンションの平均価格は、2025年9月では3,191万円(前年同月比+10.6%)となり、緩やかな上昇が継続しています。大阪市では10か月連続で上昇していますが、8月以降の上昇率は前月比1%を下回っており、鈍化傾向もみられます。都市部では価格上昇が顕著であり、大阪中心6区では前年同月比+34.6%と東京都心6区の上昇率を上回って推移しています。
  • 不動産経済研究所によると、近畿圏の2025年度上半期(4〜9月期)の新築分譲マンション平均価格は5,543万円と、調査開始以来の最高価格を更新しました。契約率は71.9%と3年連続で70%を上回っており、好調感がうかがえます。

オフィス空室率は改善が進む

  • 賃貸オフィス市況は好調が続いています。三幸エステートによると、大阪市の2025年9月の平均空室率は3.62%(前年同月差▲0.53ポイント)となり、改善傾向が継続しています。規模別では大型ビルでやや横ばい感がみられるものの、堅調な需要を背景に大規模ビルや中型ビルでは改善が進んでいます。
  • 建築費の高騰も継続しています。建設物価調査会によると、2025年10月の大阪市におけるRC造事務所の工事原価は141.9(2015年基準の暫定値、前年同月差+6.4ポイント)となり、上昇率は再び拡大しています。

【Market TOPICS】2025年都道府県地価調査(大阪圏・全国)

  • 都道府県地価調査によると、大阪圏の上昇率は住宅地+2.2%、商業地+6.4%となり、上昇が継続するとともに上昇幅も拡大しました。
  • 全国の住宅地で上昇率が高かったのは、インバウンド需要が旺盛で半導体メーカーが進出する北海道の地点や、都心へのアクセス性が良く人口が増加傾向にあるつくば市の地点でした。商業地でも同様に、半導体メーカー進出地域やインバウンド人気の高いエリアで高い上昇率となっています。

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2025年12月5日時点の内容となります。
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