企業に対するSDGsやサステナビリティ対応の要請は、急速な広がりを見せています。大手企業が主要取引先に対してSBT認定(科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標を対象とした認定)の取得を促す動きが本格化し始めているほか、行政入札の世界でも同様の動きが進んでおり、サプライチェーン全体での対応を求められる時代になっています。
具体的には、行政入札ではサステナビリティに関する対応有無が加点要素として差別化要因となっています。入札企業自身の取り組みのみならず、入札企業が取引先に実施している取り組みも問われています。そのため、「自社は行政入札に参加していないから関係ない」と思っていても、行政入札に関わりのある取引先から対応を求められる、といったケースが今後増えていくでしょう。今回はサプライチェーンへのサステナビリティ対応要請の動向と、中小企業が今からできる備えについて解説します。
全国に広がる、「SDGsも入札の加点要件」
全国の自治体・官公庁では、企業に対しサステナビリティ対応を求める動きが広がっています。従来の行政入札では、価格や納期といった経済性が主な評価軸でしたが、近年は、環境、人権、労働、経済といったさまざまな側面が加点対象となるケースが増えてきました。
2024年7月に策定された「東京都社会的責任調達指針」は、その代表例です。この指針では、法令遵守や人権尊重などの義務的事項に加え、脱炭素の推進、再生可能エネルギーの活用、多様な人材の雇用、公正な取引慣行などが推奨的事項として規定されています。これらは総合評価方式の入札において、加点の対象となり得るものです。
同様の仕組みは東京都に限らず、大阪府、横浜市、さいたま市など全国へ広がりつつあり、こうしたサステナビリティに関する要請は、公共調達におけるひとつの重要なトレンドになりつつあると言えるでしょう。
自社は直接関係なくても、取引先を通じて“要請の対象”になる
こうした動きは、行政入札に参加する企業だけに影響するものではありません。例えば東京都の指針では、「サプライチェーン全体に対する働きかけ」が明記されており、入札に参加する企業は、取引先にも同等の視点で確認や対応を求める動きが増えています。
さらに民間企業でも、大手企業が主要サプライヤーに対し、SBT認定や、環境省ガイドラインに沿った環境報告書の提出などを求めるケースが増加しています。中小企業にとっても、備えが不可欠な局面に入り始めています。
民間企業間でもサステナビリティ対応の波は来ている
サステナビリティ対応の要請は、行政調達にとどまりません。大手企業がESG経営を進めるなか、取引先にも「脱炭素」「人権」「ガバナンス」などの取り組みを求める動きが急速に広がっています。
その背景には、大企業が国際的な基準に沿った調達の考え方を取り入れていることがあります。たとえば、持続可能な調達に関する国際ガイダンスである「ISO20400」や、責任ある企業行動や農業サプライチェーンに関する複数の基準を含む「OECDガイドライン」などが挙げられます。これらは、自社だけでなく取引先も含め、環境や人権に問題がないかを確認する流れを後押ししています。
さらに、SBT認定を受けた一部の大手企業では、計画に「サプライヤーにもSBT認定を取得してもらう」という目標を組み込み、公表している例もあります。これは、徐々にサプライチェーン全体に脱炭素対応がより波及していると考えられます。
こうした流れから、SBT認定を発注先選定の条件とする企業も増え、中小企業にも一定の対応が求められる場面が増えてきました。また、SBT認定は、中小企業を対象とした基準もあることから決して大企業だけの認定でもありません。
このように、サステナビリティ対応は、企業の信頼性や選ばれやすさに直結する基準の一つとして浸透しつつあります。
サステナビリティ対応は、いずれすべての企業に求められる流れになっています。要請が届いてから準備をするのではなく、今のうちに体制を整え、取り組みと進めることで競合優位性の実現が期待できるでしょう。
たとえば、CO₂排出量やエネルギー使用量の把握、人権方針の明文化、環境対応の取り組みの整理などは、比較的始めやすく、対応の第一歩となるでしょう。こうした対応を進めておくことで、「サステナビリティへの取り組みが行われている企業」としての信頼が高まり、取引機会の拡大にもつながります。
なお、何から取り組むべきか迷う場合には、サステナビリティデータ標準化機構が公表する『非上場・中堅中小企業向けサステナビリティ情報の活用ハンドブック』などを参照することで検討が進めやすくなるかもしれません。ハンドブックでは、ESGの分野毎に開示が推奨されるサステナビリティ情報がまとめられています。また、これらのサステナビリティ情報は、入門・基本・応用のレベル別に体系化されています。
サステナビリティへの取り組みを進める上での指針として活用をしてみてはいかがでしょうか。
今のうちにサステナビリティの取り組みを進める企業こそ、これからのサプライチェーンの中で選ばれ、競争力向上につながるでしょう。将来の競争力につながる一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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