栄養ドリンクやコーヒーに頼らずに「最高の体調」と「最大のパフォーマンス」を手にいれる方法——『休養学: あなたを疲れから救う』より

あなた自身は今、疲れていませんか? 「すごく疲れている」「まあまあ」と程度はあるでしょうが、就労者10万人を対象とした調査によると、全体の約8割が疲労を抱えて生活しているという結果が出ています。人類が経験したことのない種類のストレスや疲労に悩む現代人のために、本記事では『あなたを疲れから救う休養学』(片野秀樹著、東洋経済新報社)より、疲労のメカニズムや恐るべきリスク、効果的なリフレッシュ方法を紹介します。

あなたを疲れから救う休養学

疲労は巨額の損失を生み出している

厚生労働省が2004年からおこなった調査によれば、慢性疲労症候群——つまり、生活に支障をきたす疲労が6カ月以上続く状態の人たちがもたらす経済損失の金額は、なんと約1兆2,000億円に上ることが明らかとなりました。疲れているのに無理をして働き続けることで、生産性が下がるのです。

最近では、企業の生産性を測る指標として「プレゼンティーズム」という言葉が使われるようになりました。日本語では「疾病就業」と訳されますが、要は「具合が悪いのに出社していること=つらくても無理をすれば出社できる程度の疾病」によって、本来発揮されるべきジョブ・パフォーマンスが低下している状態です。米国ではプレゼンティーズムによって、年間約1,500億ドル(約21兆円)の損失が出ているともいわれます。

疲労によってパフォーマンスが低下した人にも、企業は給与を支払い続けなければなりません。しかし結局、生産性が上がらないため、「損失」としてカウントされることになるわけです。

疲れていてはパフォーマンスが出ないことは誰もがわかっていると思いますが、疲労を理由に仕事を休む人というのは、非常にまれです。朝起きたら疲れていて体がだるい、だから会社を休もうと思っても、「そんなことを言ったら一蹴される」「『みんな疲れているんだから会社に来い』と言われるだろう」と考え、あきらめる人がほとんどでしょう。

日本では、「毎日休まず会社や学校に行くこと」自体に価値をおく傾向があります。多くの人が「休むこと=なまけること、さぼること」と捉え、休むことに罪悪感を抱いてしまうのです。そう考えると、日本は「疲れているのが当たり前の社会」であり、かつ「疲れたら休むという当たり前のことができない社会」といえるかもしれません。

疲労の正体と行き着く先

肉体的、あるいは精神的な活動をすると、活動能力は低下します。たとえば100mを走った直後に、同じ距離を同じ速さで走ることはできません。肉体的な活動のみならず精神的な活動においてもそれは同様です。頭をフル回転させていれば、誰しも疲労を覚えるでしょう。つまり、体を動かしたり頭を使ったりすることで、本来の活動能力が下がった状態が「疲労」です。

疲労の初期段階で休めば何ら問題はないのですが、休まずにいるとなかなか回復できなくなり、「慢性疲労」に陥る可能性があります。疲労は大きく3段階に分けられますが、1〜2日寝れば回復する程度が「急性疲労」で、疲労感が1週間〜数カ月続くのが「亜急性疲労」。「慢性疲労」は疲労が半年以上続く状態で、そこから慢性疲労症候群を発症することもあります。

「慢性疲労と慢性疲労症候群は、同じでは?」――そう考える人が多いと思いますが、前者は単に「疲労の状態」を指す言葉。それに対して「慢性疲労症候群」は立派な病気の一種で、脳脊髄という中枢系に炎症が起こり、疲労感のほか頭痛や発熱が半年以上続きます。痛みや発熱、疲労は、体の異常を知らせる三大生体アラートといわれます。痛みや熱なら「おとなしく寝ていよう」「病院に行って診てもらおう」などと何かしら対策をとるものの、疲労については無視したり軽視したりする人が少なくありません。実際、「頭が痛いので休みます」「熱があるので休みます」は通用するものの、「疲れているので休みます」は通りにくいものですね。

実は私たちは、使命感や責任感、やりがいなどから、疲労感を一時的に覆い隠すことが可能です。ものすごく疲れているときでも、「大会で一等賞をとれば、欲しいものを何でもあげるよ」といわれたら、疲れを感じずに努力を続けることができるのも同じ作用です。

これを疲労感の「マスキング」と呼びますが、コーヒーやエナジードリンクに含まれるカフェインも、疲労感をマスキングする効果があります。ただし、マスキングを恒常的に繰り返すのは問題です。疲れを認めずに活動を続けると、少し休んだくらいでは回復しなくなり、疲労が蓄積して病気に至ることがあるのです。なかには、マスキングを常態化させた結果、「燃え尽き症候群(バーンアウト)」を起こし、うつ病を発症する人もいます。

疲労回復には「休養」だけでは足りない?

多くの人は、仕事や勉強などの活動をして疲れ、休み、回復したらまた活動する……と、「活動→疲労→休養」の3つのサイクルを繰り返しています。しかし実際には、休んでも100%状態に回復しないまま、また活動に戻っているというのが実態ではないでしょうか。それでは私たちの消耗が進むばかりで、疲れがどんどんたまっていくだけです。

そこで重要なのが、この3つのサイクルに、疲労を打ち消す「活力」という要素を加えることです。休養だけでは50%くらいにしか回復しなくとも、活力を加えて100%に近い状態にもっていくのです。

では、どうしたら活力を高めることができるのか? 意外かもしれませんが、あえて軽い負荷を与えることで活力は高まります。たとえばアスリートは、負荷をかけたトレーニングをおこないます。直後は疲れて体力が低下しますが、十分な休養をとることで、トレーニング前よりも体力がつく――これを「超回復理論」と呼びますが、彼らはこの理論にもとづいてトレーニングをすることで、パフォーマンスを上げていくのです。

ビジネスパーソンにも、この理論が有用です。もとの体力が「10」だとすれば、あえて負荷をかけることで一時的に「8」に下がっても、回復時には「11」になっている。これを繰り返せば基礎体力が徐々に上がっていきます。

心身をリセットする「攻めの休養」のすすめ

最後に、負荷をかけるときのポイントをご紹介しましょう。

  1. 自分で決めた負荷であること
    誰かに「やりなさい」と押しつけられた負荷は、別のストレスになってしまいます。自分で決めることが重要です。
  2. 仕事とは関係のない負荷であること
    仕事で疲れているのに、さらに仕事で負荷を増やすのではなく、たとえば「家族から日曜大工で家具をつくってほしいと頼まれていたから、やってみよう」というような、仕事と無関係の負荷が最適です。
  3. それに挑戦することで、自分が成長できるような負荷であること
    分厚い本を読破する、地域活動の係を引き受けるなど、「ちょっと難しいけれど、成長できそう」というものに挑戦してみましょう。
  4. 楽しむ余裕があること
    ウォーキングで距離を延ばしていく、趣味の世界で何かの賞に応募するなど、ポジティブな負荷を課してみることが大切です。こうした休養のとりかたは、「攻めの休養」といえます。土日にだらだらと過ごして、月曜日になったらなんとなく活動に入るのは、いわば「守りの休養」。それに対して「攻めの休養」は、積極的、主体的に休むというアプローチです。

休日は先の4つの条件を満たす「軽い負荷」をかけ、活力を得て月曜日を迎える……。このような、「攻めの休養サイクル」で活力を得ることで、あなたの状態は100%に近いところまでもっていけるはずです。

本書の要点

● 疲れているのに出社することで深刻なロスが起こる

体も心も疲れていては、仕事の質は上がらない。疲労を抱えたまま働くことは、企業にとっても大きな損失を生む。

● 「疲れ」は決して無視してはいけないサイン

責任感で疲労を無視して動いても、疲労は蓄積し、やがて病気につながる。見えない疲れほど危険で、適切な対処が必要。

● 休み方を変えて「活力」を取り戻せば、フル状態に回復できる

ただ漫然と休むだけでは、現代人の疲労は回復させられない。「軽い負荷」を取り入れる「攻めの休養」で、心身をしっかり立て直すことができる。

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2026年4月3日時点の内容となります。
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