現金を扱うとお金がかかる!?見えるコスト、見えないコストとは

小売業のECやサービス業のネット予約など、さまざまな業界でDXが進み、利用者にとって便利で快適な社会へ変化してきました。金融業界もDXが大きく進み、スマホアプリやネットバンキングなどで気軽にお金のやりとりができるようになってきました。

一方で、これまで近所にあった銀行の支店は次々と減少してくとともに、店頭サービスの手数料は年々上昇し、企業や店舗にとっては脱現金へシフトせざるを得ない状況になっています。

現金決済を続けた場合には、どこでどのようなコストがかかっているのか、見えているコストと見えないコストの両面から現金を扱う際のコストについてご紹介いたします。

各銀行が両替のコストが次々値上げ

これまでは少額であれば無料だったはずの両替が、今では数百円かかってしまうなど、両替手数料の値上げは多くの銀行で行われています。

商店などの現金を多く取り扱う事業者にとっては、この小さな積み重ねによる負担が大きくなってしまいます。SNSでは神社の関係者が一円玉のお賽銭は両替代で全てなくなるという投稿が話題になったほど。さらに今では神社が商店に対して無料で両替をするというサービスまで見られます。

両替手数料だけではない現金の見えないコスト

両替にかかる費用は手数料だけではありません。以下のような、すぐに目に見えないコストも発生していることも意識しましょう。

移動のコスト

売上金の回収を現金(小切手含む)で行なっている場合、両替するための移動に車や公共交通機関を使えば、その分コストが発生します。燃料費や交通費は変動がありますが、今後も移動コストが安くなることは考えにくいでしょう。

人的コスト

別の用事で出かける際、ついでに両替や売上金を回収するという場合もあると思いますが、人が動く以上はその分の人件費が発生します。一人当たりの人件費が1時間2,000円として、毎週銀行まで両替に行くために往復30分使っていれば単純計算で月に4,000円もかかっていることになります。

管理コスト

現金を置いておくことによる防犯対策にコストがかかります。また、現金を移送することは、事故や紛失のリスクもあります。

両替を例にしてみても、このようなコストやリスクが存在しています。キャッシュレス決済の導入は、利用にかかる手数料や入金にかかる振込手数料などコスト増加に思われますが、上述したような見えないコストやリスクの削減につながります。

キャッシュレスにはこんなメリットも・・・

キャッシュレス決済を導入することで以下のようなメリットも期待できます。店舗と企業に分けてご紹介します。

店舗など

・購買単価の向上

日本クレジットカード協会によると、クレジットカード決済による購買単価は、現金決済に比べて、全業種平均で1.7倍高いという調査結果が出ています(※1)。また、キャッシュレス事業者が行っているポイント事業などで購買意欲が向上し、1回当たりの顧客単価向上が期待できます。

・機会損失の防止

キャッシュレス決済を頻繁に利用する世代には財布を持ち歩かない人もいます。また、現金を持ち合わせていない場合、キャッシュレス決済を利用できないことによる機会損失の防止が期待できます。

・決済のスピードが上がる

特に決済の頻度が多い場合は現金の受け渡しにかかる時間が短縮できるため決済スピードが上がり、時間あたりに対応できる顧客数の増加が期待できます。

・感染予防

電子マネーやQRコードといった非接触の決済や、クレジットカードの場合でも直接お客さまにカードを端末に挿してもらい、接触機会を無くすことで、衛生面で安心してもらえます。

・レジ管理コストの削減

銀行での現金の両替、釣り銭をレジに準備、レジ現金残高の確認など、レジ管理にはさまざまな作業があります。経済産業省 「キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識」(※2)によると、特に「レジ現金残高の確認作業」は時間を要し、レジ1台、1日あたり平均25分が費やされています。これにレジの台数を加味すると、1日1店舗あたり平均153分となり、レジで現金を取り扱う業務の中で、最も多くの時間が費やされていることになります。他の作業も時間がかかるとすると、キャッシュレス決済導入により、レジ管理業務の負荷が大きく軽減が期待できることが分かるでしょう。

企業の経理事務

・支払い業務

法人カード(クレジットカードやデビットカード)を導入すれば、公共料金や通信費などの支払い事務負担を軽減できたり、各拠点で発生する諸経費などの精算や経費処理をカードで一元管理することで効率化できます。

・回収業務

ECなど、非対面での決済手段の提供による回収手段の多様化や、売上金の消し込み業務を自動化できるサービスの利用により効率化が可能です。

・管理業務

法人カードを作成し、紙ベースでの経費精算を廃止することで業務を効率化でき、精算業務にかかるコストを削減することが可能です。

現金決済のデメリットは増加している

現代では、企業や店舗にとって現金決済のメリットよりもデメリットの方が大きくなってきています。キャッシュレス決済にも一定の手数料は発生しますが、両替手数料などの直接的なコストだけではなく、現金決済にかかる人件費など、間接的なコストとキャッシュレス決済導入効果を比較検討すると良いでしょう。

(※1)日本クレジットカード協会 2017年度 「観光立国実現に向けたクレジットカード業界としての取組に関する調査」
(※2)経済産業省 「キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識」

キャッシュレス決済及び法人決済ツールについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

【該当するSDGs目標】

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年3月13日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
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