出社回帰が進むなか、求められるのは「ハイブリッドの最適解」

コロナ禍を経てリモートワークが広がる一方、近年はオフィスへの出社回帰も進んでいます。企業側は出社によるコミュニケーションや若手育成効果を重視する一方、働き手の理想は多様化し、ハイブリッド型の模索が続いています。Job総研が実施した最新調査では、出社頻度の実態や理想の働き方、出社に対する意識やその理由まで、現場の声が詳しく可視化されました。働き方の転換期にある今、企業がとるべき人事戦略について解説します。

「週5出社」が最多に――コロナ禍後、出社頻度に変化の兆し

Job総研が2025年1月に実施した調査によると、コロナ禍以降、出社頻度が「減った」と回答した社会人は全体の54.0%に上り、依然として多くの人がコロナ前よりも出社を控える働き方を続けている実態が明らかになりました。

具体的には、「とても頻度が減った」が16.7%、「頻度が減った」が10.8%、「どちらかといえば頻度が減った」が26.7%と、半数以上が出社の頻度が下がったことを実感しています。一方で2025年時点の出社実態を見ると、「週5出社」が37.6%で最多となり、「週4出社」が14.2%、「週3出社」が12.6%、「週1出社」が12.4%。「週2出社」が9.2%となりました。「フルリモート」は8.7%にとどまり、在宅勤務が定着したとはいえ、週5出社のボリュームゾーンが復調している傾向も見て取れます。

コロナ禍を経てリモートワークが可能であることが広く証明された一方で、出社には対面ならではのメリットもあります。現在は、業務効率と円滑なコミュニケーションの両立を図る「最適な出社頻度」を探る過渡期にあるといえるでしょう。

出社回帰が進む一方、理想は「週3以下」

オフィスへの出社回帰が進むなかで、働く人々が望む「理想の出社頻度」にはどのような傾向があるのでしょうか。Job総研の調査によると、675人の社会人に職場での出社回帰の有無を尋ねたところ、「ある」と回答したのは25.1%、「ある予定」が26.8%で、合計51.9%と過半数に上りました。企業側がオフィス勤務への移行を進めている様子がうかがえます。

一方、働く側の希望には異なる傾向が見られます。2025年の理想の出社頻度を尋ねた結果、最も多かったのは「週3出社」で22.1%。続いて「週2出社」が19.0%、「フルリモート」が16.9%、「週4出社」が15.3%、「週1出社」が12.9%となり、「週5出社」はわずか12.1%にとどまりました。全体で「週3以下」を希望する人は合計70.9%と、在宅やハイブリッド型を理想とする声が多数派となっています。

また、2025年の「理想のはたらき方」として、リモートを選ぶ人は55.2%と、全体の過半数を超えました。内訳は「断然リモート」が27.0%、「リモート」が9.3%、「どちらかといえばリモート」が18.9%と、リモート重視の姿勢が幅広く分布しています。

同時に興味深いのは、出社に前向きな人も多数見られる点です。出社に対し、「とても前向き」「前向き」「どちらかといえば前向き」と回答した人の合計が全体の55.2%に上りましたが、出社を否定しているのではなく、理想とのバランスをとりながら、働く場所を柔軟に選びたいという意識がにじんでいるといえます。

上司・部下双方に見える対面ニーズ

出社に前向きな人々は、どのような理由でオフィスを選んでいるのでしょうか。Job総研の調査によると、出社に前向きな回答をした373人にその理由を尋ねたところ、「同僚と直接話したい」が43.7%で最も多く、次いで「上司と直接話したい」が43.2%でした。また、「家より整備された環境がある」も38.6%を占め、対話と集中できる環境の両面でオフィスを評価する声が目立ちました。

一方、出社に後ろ向きな302人に理由を聞くと、「通勤に時間がかかる」が74.8%と圧倒的に多く、「自由に仕事ができない、休めない」が41.4%、「身だしなみ準備や時間の負担」が36.8%でした。出社に対する負担感が根強く残っていることがうかがえます。

Job 総研「2025年 出社に関する実態調査」より

また、自分自身だけでなく、「上司」や「部下」に対しても「出社してほしい」と考える人も多いようです。上司がいると回答した589人のうち、66.2%が上司には「出社してほしい」と回答。内訳は「とても出社してほしい」が9.5%、「出社してほしい」が19.5%、「どちらかといえば出社してほしい」が37.2%。部下がいると回答した227人に対しては、それ以上に強い傾向が見られ、「出社してほしい」と考える人は合計で71.4%に上ります。

6割超が「出社は必要」――リモート希望でも対面の価値は揺るがず

働き方の多様化が進むなかでも、出社には一定の価値があると考える人が多数派のようです。この調査では675人の回答者のうち、「出社は必要だと思う」と答えた人は65.2%と過半数を超えました。内訳を見ると、「とても必要だと思う」が9.5%、「必要だと思う」21.6%、「どちらかといえば必要だと思う」が34.1%と、強弱の差はありつつも「出社は必要」という声が根強く存在しています。

出社が必要だと感じる理由については、「質問や意見交換がしやすい」が66.4%と最多で、次いで「リモートより深い意思疎通が叶う」が45.5%、「リモートのやり取りに限界を感じた」が40.5%と続きました。コミュニケーションや人間関係の質を重視する意識がうかがえます。

調査では、リモートワークを理想としつつも「出社には前向き」という意見も多く見られました。たとえば、「齟齬なく話せるので積極的に出社したい」「上司から学ぶために自分も出社する」といった声や、「部下のマネジメントのために出社している」「意思疎通の限界を感じた」といった実感のこもったコメントが寄せられています。

こうした結果からは、働く場所の自由度が増す一方で、対面だからこそできることへの理解と共感が、現場のリアルとして根づいていることが浮かび上がります。出社・リモートの二項対立ではなく、それぞれの強みを活かす「ハイブリッドの最適解」を模索する動きが、2025年以降の働き方の主流となっていくのかもしれません。企業も働き手も、改めて「出社の意味」を問い直す時期に来ているといえるでしょう。

参照元: Job総研調べ「2025年 出社に関する実態調査」

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2026年4月24日時点の内容となります。
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