企業力を高める!多様な人材を活かすダイバーシティとは

「ダイバーシティ」という言葉を耳にする機会が増え、自社でも取り組まなければいけないと考えている方も多いのではないでしょうか。これはさまざまな経営効果をもたらす経営戦略として、経済産業省も推奨している考え方です。今回は、これからの経営に必要不可欠なダイバーシティについてご紹介します。

経営に欠かせないダイバーシティ

ダイバーシティとは、直訳すると「多様性」を意味します。ビジネスにおいては、多様なバックグラウンド、経験値を持った人材を活用することを指し、労働環境の変化とともに個人の価値観も多様化してきた現代に欠かせない考え方になってきました。

終身雇用が当たり前でなくなった今、雇用形態にこだわらず、やりたい仕事を求めて転職する人も増えています。また、内閣府のデータ(※1)によると、2020年に約7,000万人いる生産人口が、2060年には約4,000万人に落ち込むと考えられています。

この状況で人材を確保するためには、今いる人に長く元気に働いてもらう(健康経営の推進)と同時に、子育て世代、外国籍の方、高齢者など、誰もが働きやすい職場環境を整えることが大切です。

こうした状況で優秀な人材を獲得するために、企業側は多様化する人材のニーズに応えるダイバーシティを意識した経営を実践し、採用力を高める必要があるのです。

日本におけるダイバーシティ経営の現実

社会は多様な人材で成り立っていることは周知の事実です。働く女性の増加や外国人労働者の受け入れ拡大、そして健康寿命の延びに伴い高齢者も多く働きに出るようになり、日本の生産活動を支えています。

厚生労働省の雇用動向調査(※2)や外国人雇用状況の調査(※3)、総務省統計局の調査(※4)によると、特に高齢者や専門技術を持った外国人の雇用状況の変化が分かります。これらから高齢者も働きやすい環境にあること、グローバルな事業展開を行うため外国人を採用する企業が増加していることが推測できます。

一方、女性活躍の観点では、日本は世界から見て遅れていると言われます。世界経済フォーラム(WEF)が2022年「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)を公表の中で、経済・教育・政治参加などの分野で世界各国の男女間の不均衡を示す指標である「ジェンダーギャップ指数」の世界ランキングを発表しました。その中で、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中116位で、主要7カ国で最下位となりました。(※5)
これは経済・政治分野に課題があると見られています。経済分野では、女性就業率はG7各国と比べても相対的に高い水準にあるものの、管理職や役員への登用率が低いとされます。また、厚生労働省の調査では、女性の非正規雇用率が男性に比べて全体的に高いことや、出産適齢期と考えられる30〜40代前半における正規雇用率が低下していることなどが分かっています。

事業発展のための人材確保と活躍の場の必要性

企業の成長のために、良い人材を確保したいのはどの企業も同じです。しかし多様な人材を採用しようと思っても、性別や国籍、年齢などで無意識のうちに制限をかけてしまう「アンコンシャスバイアス(※)」が採用の枷になっていることもあります。ダイバーシティ経営を実践するには、このバイアスを外すことが必須です。

  • アンコンシャスバイアス…自分自身で気づいていない「ものの見方やとらえ方の歪みや偏り」。本人の過去の経験や知識、価値観、信念等をベースに認知・判断し、何気ない発言や行動に現れるもの。自分自身では偏見があるとは認識していないため、「無意識の偏見」と呼ばれる。「女性だから○○が好きだろう」「体格がいいから△△の職業だろう」というように、個人の特性ではない部分で決めつけてしまうようなこと。

ダイバーシティを意識して人材を得た場合、新たな視点によるイノベーションをもたらすことや、グローバル市場における競争力のアップ、採用力の底上げなどの効果があると考えられます。例えば、商品のターゲットが外国人なら対象国の人材を入れたり、女性がターゲットの商品なら企画に女性の目線を活用したりと、人材のもつ力を最大限に活かせるよう、明確な目的を持ってダイバーシティ経営を行うことが重要です。前述の「女性や外国人の登用率が低い」などの情報を違う視点から見ると、働き盛りの女性や外国人など、新たな人材登用に伸びしろがあるともとらえられます。一人の個を性別などによって同質的に扱わず、多様な人材を交えたチームを作ることで、企業力を強化できるでしょう。

ダイバーシティ経営の実践には多様な人材が働きやすい企業であることが不可欠です。実際の取り組みには、経済産業省が提供している中小企業向け「ダイバーシティ経営診断ツール」の活用も効果的ですので、ぜひご覧ください。また、どのように取り組めば良いかお困りの場合にはりそな銀行でもご相談を承ります。 

SDGsについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年10月14日時点の内容となります。
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