りそな企業投資の目指す事業承継の支援スタイル

中堅・中小企業の事業承継をサポートする事業承継ファンドであるりそな企業投資。2021年に設立されて以降、どのような支援を提供してきたのでしょうか。りそな企業投資の市橋謙一社長にお話を伺いました。


市橋 謙一
りそな企業投資株式会社 社長
1993年あさひ銀行入行(神谷町支店)。浅草支店、大宮支店にて法人渉外業務を経験後、2000年にあさひ銀事業投資(現 りそなキャピタル)に出向し、IPO投資や投資ファンド運営業務に従事。2010年りそな銀行東京営業部を経て、2012年りそな銀行法人ソリューション営業部企業ファイナンス室(現ソリューションビジネス部)新設メンバー。2015年から同室グループリーダーとしてりそなグループのM&Aファイナンス並びに投資ファンド対応業務を牽引。2021年1月にりそな企業投資設立に際し社長就任(現職)。

どのような企業の承継をサポートできるのか

りそな企業投資は事業承継に困っている中堅・中小企業の株式を取得し、数年間にわたって伴走支援を提供。会社としての目指す姿や、われわれがバトンタッチすべき資本の担い手を十分に対話したうえで、株式を譲渡することで円滑な事業承継をお手伝いします。

われわれが主に対象としているのは、安定したキャッシュフローを創出する事業基盤を持っている、いわゆる優良企業でありながら、事業承継課題に悩みを持つ非上場企業です。

優良企業ほど自社株の評価額が高くなり、相続発生時の納税負担が重くなる一方で、非上場企業の株式は流動性が低く、任意に資金化するのは簡単ではないというジレンマを抱えています。かといって、相続発生前に、数億円にも上る評価額の非上場株式を、親族外の後継者個人の負担で買い取るというのも一般的には困難でしょう。後継を任せたい人材がいたとしても、承継をためらうケースは少なくないのです。こうした「優良であるがゆえに承継が難しい」企業の株式を譲り受けることで、りそな企業投資も当事者として、円滑な事業承継と持続的な事業発展を支援します。事業成長や事業再生のための資本支援は、りそなグループ内で別のソリューションをご用意しています。

そして、われわれが最も大切にしているのが、経営者との対話です。投資を実行する前には、会社の将来像や目指すべき方向性について経営者やオーナーと深く対話し、「この未来を実現していきましょう」という想いを共有できてはじめて、われわれに株式を託していただくのです。単なる資金の出し手ではなく、同じ未来を見つめる伴走者となること。それが、りそな企業投資の目指す支援の形なのです。

承継支援を完了した「三方よし」の事例

りそな企業投資の支援スタイルを具体事例でお話ししましょう。われわれはこれまで、7社に出資を行っています。最初の出資は、電子部品輸入商社の扶桑商事株式会社でした。2021年に出資し、2024年に承継支援が完了しました。3年間にわたって支援し、理想的な形で橋渡しを実現できた事例です。

扶桑商事の創業オーナーは、支援開始当時80代。メインバンクとしてのお付き合いがありました。実は、この10年近く、りそな銀行の取引支店をはじめ、プライベートバンキング部門やM&A担当部門(現承継ソリューション営業部)が事業承継の相談に乗ってきましたが、承継の方向性について決め手に欠ける状況が続いていました。「自分の子どものような会社」を誰に託すのか、その決断は容易ではないのです。

そんな中、りそな企業投資が設立されたことが、状況を動かすきっかけとなりました。株式はお預かりするが、経営体制や経営方針は引き継ぎ、人員の削減もしないことを説明したところ、「ずっとサポートしてもらってきた銀行グループであれば、信頼できる」と未来を託す決断をしていただきました。やはり決め手は、長年にわたって築き上げてきた「りそなグループ」としての信頼感だったのです。

投資ファンドというと、経営に大きく介入し、強権的に改革を進めるといったイメージがあるかもしれませんが、われわれはここでも「対話」を重視しています。あくまで主役は支援先企業の役職員の方々であり、対話をもとに支援先企業の状況に適した支援を行うスタンスです。

例えば、扶桑商事の役職員の方々が「本業が忙しくて手が回らない」と感じていたことを拾い上げて改善していきました。紙と印鑑が中心だった業務フローを分析し、グループウェアを導入して権限移譲と電子化を進める。勤怠管理や経費精算のシステムを導入し、働き方を効率化する。給与規定や退職金規定といった人事規程を見直し、令和の時代に見合った仕組みとする。こうしたDXの推進や制度の整備は、従業員の働きがいやモチベーションの向上につながり、結果として会社の発展にも貢献することができました。

そして支援開始から3年後、次世代の経営陣が株式を買い取るMBO(マネジメント・バイアウト)という形で、承継が実現しました。これは、創業オーナーが当初から「社内の人間が継いでくれたら、それが一番いい」と望んでいた形でした。

会社の社風や理念、事業の強み、雇用はそのままで、組織を強化して承継できるというのは、多くのオーナーの望むところだと思います。創業オーナー、次世代経営陣、そして会社を支える役職員の方々、今後もメインバンクとして取引を続けていくりそな銀行も含め、全ての関係者が幸せになる「三方よし」の承継を実現できました。

承継に悩む経営者の方々へ

多くの場合、承継の話は従業員に気軽に相談できる内容ではなく、経営者は孤独の中で「どうすればいいのか」と悩み続けてしまいます。後継者や株式譲渡に悩みを抱えながらも、事業は存続・成長させたいというのが、多くの企業オーナーさんのお考えだと思います。(図参照)

後継者の決定状況

だからこそ、まずは一人で抱え込まずに、私たちのような外部の専門家に声をかけていただきたいのです。「相談したら、何かを強制されるのではないか」と身構える必要は全くありません。情報収集の一環として、まずは話を聞いてみる、「りそな企業投資」の事例を参考にしてみる、というくらいの気持ちで気軽にご連絡いただければと思います。私たちはあくまで「りそなグループの機能のひとつ」であり、グループには他のソリューションも幅広く用意があります。お話を聞いたうえで、別の手法が適切だと思えば、迷わずそちらをご案内できるでしょう。結論を急がず、必要であれば数年にわたる対話を続けながら、最適なタイミングと最適な方法を共に探していくパートナーです。

りそな企業投資の運営する事業承継ファンドは、同族承継でもない、事業会社への売却(M&A)でもない、新しい選択肢です。皆様の長年の想いが詰まった大切な会社を、最も良い形で次の世代に引き継ぐお手伝いができれば、これに勝る喜びはありません。

りそなBiz Actionではこれらの資料もご用意しております。ぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2025年12月19日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
記事に関するお問い合わせは、お手数ですがメールにてご連絡をお願いいたします。