不動産レポート2023年夏(首都圏版)

不動産レポート2023年夏(首都圏版)

3か月に一度、マーケット情報や不動産に関する市況、最新のトピックスなどをお届けします。本記事は2023年夏に発行された、首都圏向けの内容となります。

【Market REVIEW】日銀がYCCの運営を柔軟化 正常化はまだ見通せず

  • りそなアセットマネジメントチーフストラテジスト 下出 衛
    日銀は7月末の会合で、長短金利操作(YCC)の運用柔軟化を決定し、長期金利の変動許容幅「±0.50%程度」を目途として残した上で、実質的な上限となる指値オペ水準を1.0%に引き上げました。日銀は、2%の物価目標の実現がまだ見通せない中で、緩和政策の持続性を高めるための措置、と説明。植田総裁は記者会見で、為替市場も含めた金融市場のボラティリティが高まる場面では1%以下の水準でも指値オペを実施する可能性を示唆しており、国内金利の上昇余地は限定的とみられます。
  • 市場では今回の決定を「正常化の第一歩」と見る向きもありますが、そもそも、日銀は正常化に対して、極めて慎重とみられます。その理由は、6月会合での植田総裁の発言「インフレがアンダーシュートした場合、対応が難しい」に集約されています。つまり、拙速な利上げをして、深刻な景気後退やデフレ状態に戻ってしまった際、対応余力が極めて限られていることへの認識が反映されていると思われます。
  • そのように考えると、日銀がマイナス金利解除まで含めた正常化に踏み出す際には、余程、“視界良好”、である必要があります。日銀は、2000年8月と2006年7月に、ゼロ金利を解除しましたが、いずれも直ぐにUターンを余儀なくされました。その一番大きな理由は、直後に米国が景気減速局面に入ったことと考えられます。利上げ打ち止め観測が高まっている現在の米国は、過去2回の苦い経験時と似た経済環境にあります。米国が景気再拡大局面に入り、FRBが利上げを開始する頃が、日銀の正常化着手のタイミングとしては最も無難と言え、それは早くても2025年以降になると予想されます。

 (りそなアセットマネジメントチーフストラテジスト 下出 衛)

世界経済成長は減速も日本は成長となる見込み

  • IMFによると、2023年と2024年の世界経済成長率は3.0%となる見込みとなっています。今年初めに起こった金融セクターの混乱も当局の対応により、当面のリスクは抑制されているとしていますが、日本を除く世界各国での政策金利の引き上げが経済活動の重しとなっているとしています。
  • 2023年の日本の経済成長率は前回(2023.4)より0.1%上方改定され、1.4%となっており、緩和的な政策等により今年は上昇するが、来年には景気刺激策の効果消失により1.0%に減速するとしています。
主要国の経済成長率見通し
(出所)IMF(2023.7)

訪日外国人旅行客数は200万人を突破

  • 訪日外国人旅行客数も回復傾向にあり、6月にはコロナ禍以降で初めて200万人を突破し、2023年上期(1〜6月)の累計では1,071万を超えました。8月10日には中国からの団体旅行も約3年半ぶりに解禁され、今後の旅行客数やインバウンド消費のさらなる増加が期待されます。
  • 国内宿泊施設の延べ宿泊者数も増加傾向にあり、宿泊旅行統計調査によると2023年6月は4,626万人泊(第1次速報値)と、コロナ禍以降で初めて2019年同月比でプラスとなっています。5月時点では、特に北米やシンガポール・インドネシアなどからの宿泊者数が同比率でプラスとなっています。
訪日外国人旅行客数
(出所)日本政府観光局

都心では中古・新築マンション価格ともに高水準

  • 東京カンテイによると、東京都区部の70㎡あたり中古マンションの平均価格は、2023年6月では前年同月比+2.9%の7,039万円と、3月以来7,000万円台を継続しています。前月比では4月以降、0%付近を推移しており、やや頭打ち感がみられます。
  • 不動産経済研究所によると、首都圏の新築分譲マンション価格は2023年上期では平均価格8,873万円(前年同期比+36.3%)、発売戸数は10,502戸(同▲17.4%)となっています。都心部の高額物件がけん引したことで半期としては過去最高価格になりました。下期(7〜12月)の供給見込みは2万戸(同+18.6%)となる見込みで、都区部や神奈川県では大型案件もみられるとのことです。
首都圏の 古マンション70㎡価格
(出所)東京カンテイ

オフィス空室率は横ばい傾向、賃料は下落トレンド

  • 三鬼商事によると、7月の東京ビジネス地区における空室率は6.46%(前月比▲0.02ポイント)、平均賃料は19,819円(同▲0.1%)となっています。平均賃料については下落トレンドにあり、空室率は春以降、東京都区部の新規供給もあり、需給バランスの緩みから小幅な変動がみられます。
  • 建築費の高騰が続いており、建築物価調査会によると2015年基準での東京における7月の事務所RC造の工事原価は122.3となっており、全国をみても上昇トレンドにあります。これにともない原状回復費用も上昇しており、テナントの移転行動などへの影響が懸念されます。
東京ビジネス地区のオフィス空室率・平均賃料
(出所)三鬼商事
※東京ビジネス地区=千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区

【Market TOPICS】不動産鑑定問合せ件数の推移(東京)

  • 不動産鑑定の問合せ件数は、今後の不動産売買の先行指標と考えられます。
  • 東京都の不動産鑑定問合せ件数は、2020年を上回る水準で推移しており、レジデンス・ヘルスケアに対する問合せの割合が多く、今後も堅調な売買が続くとみられます。
不動産鑑定問合せ件数(東京、2020Q1=100)
アセット別鑑定問合せ件数(東京、2020Q1=100)
(出所)大和不動産鑑定
(注)2020年Q1期を100とする指標

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りそな銀行不動産ビジネス部
住所:東京都江東区木場1丁目5番25号 深川ギャザリア タワーS棟
TEL:03-6704-2376

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年9月22日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
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