これからのリーダーが持つべき「寄り添う力」とは

理想のリーダーといえば、どのような像を思い浮かべますか? もちろん決まった正解はなく、企業の成長とともに、どうあるべきか悩む創業社長も少なくないのではないでしょうか。「モーレツ社員」が多かった時代と違い、力で言うことを聞かせるような姿勢では従業員のモチベーションや能力は上がりにくく、リスクもあります。従業員の目線に立ち、成長を後押しするように寄り添うコツを考えます。

「理想の上司」にみる変化、「力」に依存するリスク

毎年、メディアでよく取り上げられる「理想の上司」。明治安田生命保険相互会社が2022年に発表したランキング(※1)では、女性も男性もトップは6連覇の著名人でした。近年では強い指導力よりも、「親しみやすさ」が重視されています。

ハラスメントに厳しい目が向けられる今、力関係に依存したコミュニケーションはリスクをはらみます。頭ごなしの命令や、相手の状況や権利を顧みない一方的な要求は「力」の乱用と受け取られ、反発を招きかねません。

業務課題の答えが見えやすく、従業員が同じ方向を向きやすい時代なら、意思決定が速いトップダウン型も有効でしょう。創業期は、力業や勢いも時に必要だったかもしれません。ただ、従業員が増えて多様性が求められ、正解が見えにくいとなると、違うアプローチがベターです。現場の諦めや萎縮を招けば、組織は硬直化し、変化に対応するのが難しくなる恐れもあります。

近年注目される「サーバントリーダーシップ」

では、旧来の「支配型」と異なるリーダーとは、どのような存在でしょうか。近年関心が寄せられている1つが、「サーバントリーダーシップ」です。「奉仕する」「支援する」「寄り添う」リーダー像と言えます。

NPO法人「日本サーバント・リーダーシップ協会」(※2)のホームページ上では「奉仕や支援を通じて、周囲から信頼を得て、主体的に協力してもらえる状況」をつくり出すリーダーです。業務上の地位や権限に依存して服従させるのではなく、相手を理解して成長を応援するような姿勢がキモになります。

従業員の仕事に対する考え方、能力、抱える事情などは一様ではなく、できる限り丁寧にフォローし、成長を促したいものです。現場の目線を意識し、従業員の意欲や主体性を育むことができれば、組織を活性化できそうです。

「指示」ではなく「依頼」するリーダーになるには

ただ、いきなり「サーバントリーダーシップを!」と思い立っても、戸惑ってしまうもの。まずは「指示」を見直すことから始めてみませんか? いくつかコツを考えます。

  • 「強い指導者」というイメージを捨てる

    ご自身は「支配型」でしょうか? 指示の出し方を振り返ってみましょう。強いリーダーという自負が強すぎると、従業員と同じ目線に立ちにくくなるかもしれません。

  • リーダー=能力が高い、とは限らない

    「リーダーは役割にすぎない」と考えれば余計な力が抜けるかもしれません。むしろ応援するつもりで協力を求めた方が、親しみやすさは増します。

  • 寄り添い、「依頼」して意欲を引き出す

    従業員とのコミュニケーションが良くなると、意見や本音を引き出しやすくなり、思わぬアイデアが見つかるかもしれません。信頼できる仲間として仕事を任せ、サポートに努めると、成長を促せます。

先行きの見えない変化の激しい時代、リーダーの自己変革も時に必要です。自ら考え、動く従業員を育てることで、本当の意味で強い会社に変えていきましょう。

(※1)明治安田生命保険相互会社「『理想の上司』アンケート調査を実施!」(2022年2月1日発表)
(※2)NPO法人「日本サーバント・リーダーシップ協会

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年2月3日時点の内容となります。
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