「社長の右腕」になるために、おさえておきたいマインドセット

企業には「社長の右腕」や「番頭さん」と呼ばれるような、重要な役割を持った従業員がいます。最近では「中核人材」や「コア人材」ともいい、人材不足が叫ばれる中、特に足りないのは中核人材だと言われているようです。

「社長の右腕」の仕事とは

ひと昔前の中小企業では、「職人」と呼ばれるような専門職の人々を多く抱えていました。その重要度は変わりませんが、産業構造の変化によって、経営戦略の立案や事業展開を担うような「中核人材」の需要が高まっています。
中小企業白書では中核人材を下記のように定義しています。(※1)

  • 部門の中枢として高度な業務・難易度の高い業務を担う人材
  • 組織の管理・運営の責任者となっている人材
  • 複数の人員を指揮、管理する人材
  • 高い専門性や技能レベル、習熟度を有している人材

企業が円滑に事業を行うにあたっては高度な業務や組織・人員の管理業務、専門的業務を行う人が必要であり、それが「社長の右腕」の仕事と言えそうです。
仕事内容の具体例を見ていきましょう。

お金に関する業務

会社の創業時には資金繰りに苦労するものです。「金庫番」と呼ばれるような中核人材がこの時の「社長の右腕」であり、部署でいうと経理部に当たります。会社が大きくなるにつれ財務会計や管理会計など業務が分かれることもありますが、中小企業では一人が担うこともままあります。

人に関する業務

社内のことはなんでも知っていて、社内の人間関係や部署間の調整を行うなど、「人に関する業務」、「マネジメント業務」も中核人材の重要な仕事です。従業員の採用時から退職までの手続きなど、人事部や労務部に当たるような仕事を行うことも多いでしょう。

組織に関する業務

引っ越しや防災など、会社の環境に関わる仕事も担当することがあります。部署でいうと総務部に当たりますが、何でも屋のような役割をこなす場合も。経営企画部のように社長と会社の将来を検討したり、それに沿った組織戦略を考え・運営するといった仕事も中核人材の役割です。

専門性の高い業務

法務などの資格が必要な仕事や営業において経営層自らがトップセールスを行うこともあります。また顧客トラブルを未然に防いだり、トラブルが起きたとしても解決までの舵取りをするなど、人脈や経験が必要な仕事を「社長の右腕」が引き受けることも多いでしょう。いわゆる「職人」にしかできないような、現場での高いスキルが必要な仕事もこちらに含まれます。

どのような人が「社長の右腕」になれるのか

中核人材の仕事内容は多岐にわたりますが、求められる仕事は社長のタイプによって異なります。たとえば社外的な仕事は社長が一手に引き受け、社内の仕事を「社長の右腕」が担うパターンも多いでしょう。
それでは、その資質がある人とはどのような人でしょうか。

社長に意見が言える人

社長の右腕だからといってイエスマンである必要はないでしょう。「社長が言ったから・・・」と社内を伝書鳩のように行ったり来たりするのではなく、状況に応じて社長に意見をし、自分自身が納得して物事を進められる胆力が求められます。

目的に向かって突き進める人

自社を末長く存続させる・社長を助けるといった目的意識を持っていることが一番大切なマインドセットです。どのような状況でも諦めず、前を見ることができる人はなかなかいないため、大切に育てていきたい人材にあたるでしょう。

人との対話ができる人

人と対話が上手であることも大前提です。現場の意見を社長に伝えたり、逆に社長の考えを従業員に分かりやすく説明したりなど、中間管理職的な立ち位置になるため、論理的に話せる能力と情や心に訴える言葉を使い分けながら人心掌握できることが求められます。

経営に関する能力がある人

部署で言うならば人事・事業部・経理といった、いわゆるヒト・モノ・カネを管理する能力も大事です。創業したばかりの企業では、社長と力を合わせて全てを決める場面があるかもしれません。専門性の高さも大切ではありながら、状況判断能力や決断力も必要になるでしょう。

「社長の右腕」には広い視野と知識が必要です。
会社で本業の結果を出すことは最低限として、経営を学ぶために外部のウェビナーを利用するなどして自己研鑽しながら、「社長の右腕」を目指しましょう。

(※1) 中小企業庁「中小企業・小規模事業者における 中核人材確保ガイド」 P.3

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年1月13日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
記事に関するお問い合わせは、お手数ですがメールにてご連絡をお願いいたします。