「あの人はなぜ、あんな発想ができるのだろう」——そう感じたことはないでしょうか。ユニークな行動を取れる人は、特別な才能や突き抜けた個性を持っているわけではありません。違いは、感情との向き合い方と、日々の小さな選択の積み重ねにあります。本記事では『ユニークな行動を取れる人がいつも考えていること』(池田貴将著、サンクチュアリ出版)より、AI時代に求められる「自分だけの価値」の作り方と、それを行動に変えるための思考法をご紹介します。
学歴でも経験でもない。これからの時代に求められるもの
AIの台頭や情報技術の急速な普及により、ビジネスの世界は大きく変わりつつあります。かつては学歴や職歴、豊富な経験が競争力の源泉でした。しかし今、ルーティン作業や定型的な判断はAIや自動化に代替され、人間に求められるのは創造性や個性、唯一無二の視点へとシフトしています。情報・技術があらゆるものをコモディティ化させた時代だからこそ、「何を買うか」より「誰から買うか」が重視され、個人のユニークさそのものがブランドになる時代が到来しているのです。
では、「ユニークさ」とは何でしょうか。それは「目立とうとすること」や「奇抜であること」とは明確に違います。ユニークな人が持つのは、言葉や服装といった表面的な個性ではなく、自分の内側からにじみ出る「軸」のようなものです。毎朝同じコーヒー店で日記を書く、誰にも見せないノートに好きな俳句を書き写す——そうした「静かなズレ」の積み重ねが、やがてその人だけの視点と行動を生み出していきます。
スティーブ・ジョブズは服装のルールを固定化することで思考の無駄を削り、創造的な仕事に集中しました。ジェフ・ベゾスは「10年後も変わらないもの」に投資し続けました。イーロン・マスクは「火星移住」「完全自動運転」という普通の人が考えもしない未来を本気で目指しています。彼らに共通するのは、他者の評価や常識に行動を委ねるのではなく、自分なりの賢明な判断と行動を繰り返してきたという点です。
ユニークさとは、表層に現れるものではなく、自分の内側から自然と湧き出るものです。そしてそれは、特別な才能を持つ一部の人だけのものではありません。「ごく普通の自分」と「ユニークな自分」は、実はひとつの線でつながっているのです。
「みんなと同じ」が、実は一番リスクが高い
「やってみたい」と感じても、経験がなければ「不安」で踏み出せない。「面倒くさい」「損をしたくない」「プレッシャーに負けてしまう」——多くの人がこうした感情に行動を左右され、結果として周囲と同じ選択をし続けてしまいます。これは意志の問題ではなく、感情が無意識のうちに行動を縛っているからです。
ユニークな行動を取れる人が他者と違うのは、才能や度胸があるからではありません。彼らの特徴は、他人の常識や既存の枠組みに縛られることなく、「自分の感情を信頼できている」という点にあります。感情は人間の生命を守るための器官であり、骨や筋肉、心臓と同じように私たちの生命維持を支えるものです。「ズレること」への不安を感じることは自然なことですが、ユニークな人はその不安を否定せず、むしろ感情そのものをナビゲーターとして活用しています。
「当たり前からズレる」ことは、勇気がいることです。しかし、その一歩は才能ではなく、感情との付き合い方を変えることで誰にでも踏み出せるということです。
目標の本質とは
「目標を立てなさい」とよく言われます。しかし、目標を立てても達成できなかったとき、「自分は駄目な人間だ」と感じてしまった経験はないでしょうか。目標の本質は「達成すること」ではなく、「感情にスイッチを入れること」です。
目標を持つことで、私たちの意識はその言葉にふさわしい知識や情報を自然と集め始めます。行動が変わり、結果が変わり、やがて人生の流れそのものが変わっていく——目標とはそのドミノを倒すための「初めの一押し」に過ぎません。だからこそ重要なのは、「この目標はうまくいきそうか」「失敗しそうか」といった見込みではなく、「この目標に自分のテンションが上がるかどうか」です。胸がワクワクし、先が待ち遠しくなるような目標を、まず臨機応変に設定してみることが大切なのです。
そしてもうひとつ見逃せないのが、時間の使い方における「物差し」の問題です。多くの人は「緊急の物差し」——つまり「今すぐ対応しなければならないこと」に時間を奪われ続けています。顧客対応、急な依頼、次々と届くメッセージ……。こうした緊急性に追われていると、振り返ったときに「結局、何もできなかった」と悔やむ時間だけが増えていきます。ユニークな行動を取れる人は、一日のうちひとつでも「重要の物差し」——自分の価値観や未来に根ざした行動——に時間を使おうとします。実験を繰り返すためには、まずその時間を意識的に確保することが欠かせないのです。
忙しい人ほど、「何もしない時間」が武器になる
不安や焦りに追われているとき、人は視野が狭くなります。「やらなければ」「このままではまずい」という感情が頭を支配すると、本当にやりたいことへの感度が鈍くなり、目の前の緊急なことだけに反応し続ける日々になっていきます。ユニークな人が他者と違うのは、こうした感情の波に流されることなく、感情が湧き上がったあとに、それを一度受け止める 「余白」を持っているという点です。
この余白は、単なる「暇な時間」ではありません。余白とは「重要の物差し」に従い、自らの意志で自由な時間を確保することです。忙しさに流されず、「今日、自分にとって本当に大切なことは何か」を問い続ける習慣こそが、ユニークな行動の土台になるのです。
また、ユニークな人は感情の「とらえ方」を意識的に変える技術「リフレーミング」を持っています。「契約を取れなかった=失敗」ではなく「改善のチャンス」と捉え直す。「片付けなければいけない」という義務感を「音楽を流しながら楽しく片付ける」という快感に変換する。こうした問いかけの質を変えることで、感情と行動の方向性をポジティブに導いていくのです。
人生は、一つひとつの行動の積み重ねでできている。名画も名曲も、最初の一筆、一音から始まります。「うまくできるか」ではなく、「今日、自分に何かひとつ行動を起こせるか」——その問いに向き合い続けることが、ユニークな人生への入り口なのです。誰の許可も必要ありません。「やっていい」という許可は、自分自身が出すだけでいいのです。
本書の要点
● ユニークさとは「目立つこと」ではなく、内側からにじみ出る「軸」である
AIや自動化が進む時代、差別化の源泉は学歴や経験ではなく、その人だけの視点や行動パターンにある。ユニークさは特別な才能ではなく、日々の「静かなズレ」の積み重ねから生まれる。
● 「みんなと同じ」に安心することの罠
失敗したくない、損を出したくないといった恐れから、周囲と同じ選択をし続けてしまうことがある。しかし、「ユニークな人」は他人の常識や既存の枠組みに縛られることなく、「自分の感情を信頼している」ため、「当たり前」からズレることができる。
● 人生は「今日の一行動」の積み重ねでできている
目標は達成するものではなく、感情にスイッチを入れる道具。忙しさの中にも「重要の物差し」に従った余白を確保し、小さな行動を繰り返すことが、ユニークな人生への唯一の入り口である。
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