遺言書の備えで、万が一の安心を

大切な資産を理想どおりに相続するには、事前の準備が重要です。その1つが「遺言書」の作成。個人の資産はもちろん、企業が保有する資産もきちんと整理しておくことで、円滑な事業承継にも役立ちます。詳しく見ていきましょう。

遺言書を取り巻く状況

日本財団では、60歳~79歳までの男女2,000人を対象に遺言などに関する調査(※)を実施しました。この調査によると、遺言書を作成している人はわずか3.5%。そのうち、公正証書として作成した方は1.5%です。いわゆる「終活」に興味がある人は60%に上るにもかかわらず、実際には行動できていないという状況です。
遺言書を作成していない理由は、「手間がかかりそう」「それほど財産がない」「自分にはまだ早い」といったことが挙げられますが、例えば、次のような方は特に遺言書を作っておく必要があります。

  • 独身である
  • 既婚で子どもがいない
  • 家族関係が複雑
  • 兄弟姉妹と関係が良くない
  • 過去に相続で揉めた経験がある
  • 相続人の中に認知症の方がいる

このような状況にもかかわらず遺言書が存在しない場合、財産配分、親族や関係者間のトラブルなど、さまざまな問題が起きる確率は格段に上がります。企業オーナーの場合、後継者や議決権をめぐって人間関係に争いが生じ、企業経営や財務基盤に影響を与えてしまうおそれもあります。
相続の際はどうしても感情論になりがちです。権利関係のトラブルを回避するためにも、本人の意思を示す遺言書の存在は非常に大きいと言えます。

遺言書の種類

遺言書には主に2つの種類があります。
「自筆証書遺言」は、本人が自筆で作成する方式の遺言書です。書式・用紙等は自由ですが、法律上有効な遺言の要件は民法で厳格に定められています。法務局には自筆証書遺言を保管する制度があります。形式不備がないかチェックを受けられるものの、スムーズに実行できる内容になっているかは自己責任です。

公証人に遺言の内容を述べ、公正証書を作成してもらうのが「公正証書遺言」です。自筆証書遺言に比べて費用はかかりますが、法律の専門家である公証人が筆記作成するため、安全かつ確実です。不備による無効化や紛失のリスクもありません。

いずれの方法でも有効ですが、遺言書が実際に効力を発揮するときには作成した本人が介入することはできないわけですから、実行に支障がないよう、しっかり準備しておきたいもの。残された方々の争いの種を取り除くためにも、公正証書遺言の作成をお勧めします。

遺言書によってできること

遺言書があれば、自身の「想い」を反映させた相続ができます。資産の一部あるいは全てを、事業の後継者や世話になった親族に遺すという方も増えています。

企業オーナーは自社株式、不動産、会社宛貸付金など法人の資産を個人で所有している場合もあり、遺言書の必要性はいっそう高まります。例えば遺言書がないままオーナーが急逝し相続が発生した場合、後継者以外の相続人に自社株式が分散し、会社経営自体が揺らいでしまうという事態にもなりかねません。
このように相続のトラブルは企業の存続や事業承継にも影響するため、少なくとも次の項目はきちんと把握しておきましょう。

1. 家族関係

  • 家系図の作成、家族それぞれとの関係性
  • 事業承継者と承継時期

2. 自社株式の保有状況

  • 自社株式の保有数およびその割合
  • 自社株式の承継先
  • 自社株式を承継済みであれば、承継先の保有状況

3. 個人資産の状況

  • 不動産の保有、活用の状況
  • 取引金融機関と運用状況

これらに加え、企業の経営状況や将来の事業展開、ビジョンなどとのすり合わせも必要です。法定相続人の確認や財産の洗い出しから始めると時間もかかり、専門的な知識を要するため、弁護士や司法書士、金融機関等の専門家に相談すると良いでしょう。

遺言はあなたの財産や想いを形にし、次世代に繋ぐための大切なメッセージです。早くから準備しても早すぎることはありません。
りそな銀行の「遺言信託」では、公正証書遺言の書き方から保管・執行までトータルでサポートしています。お近くのりそな銀行で手続きができますので、ぜひお問い合わせください。

(※)日本財団「遺言・遺贈に関する意識・実態把握調査 要約版」(2022年調査、2023年1月5日公開)

事業承継について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2024年5月17日時点の内容となります。
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