メリット多し! 不動産の「オフバランス化」(セールス&リースバック)

日本企業は、総資産に占める不動産の割合が高いと言われています。つまり、バランスシート(B/S)が重くなっている状態です。社会に先行き不透明感がある昨今、メリットが多いとして、不動産をバランスシートから外す「オフバランス化」(不動産の流動化)に関心が高まっています。

より少ない資産で高い利益を上げることができれば、企業価値の向上につながります。CRE(企業不動産)戦略の一環としてこの目的を達成するため、最適なソリューションを見つけるヒントをお示しします。

「オフバランス化」で見込まれる4つの効果

「オフバランス化」すると企業にどのようなメリットがもたらされ得るのか。代表的な4つを紹介します。

1.投下資本の回収、資金循環が容易に

そもそも不動産は一般的に高額なため、すぐに売買を成立させる(現金化する)ことにハードルがあります。さらに、保有し続ける場合、事業で生じた利益を原資として投下資本を回収する格好になるため、回収完了までの期間は長期にわたります。一方でオフバランス化すると、まとまった不動産の売却代金を回収に充てられることから、次の施策に資金を回しやすくなります。

2.資金調達の手段が多様に

事業を長く継続していくと、さまざまな場面で資金調達が必要になりますが、「会社の信用力」をベースにした融資や株式・社債発行などの方法が一般的です。ただ、収益力や価値の高い不動産を切り離す(オフバランス化する)ことで、会社そのものの信用とは連動しない、不動産を元手にした調達(アセットファイナンス)も選択肢になります。これにより、資金調達の多様化が図れます。

3.B/Sのスリム化で財務改善、信用向上

オフバランス化によってバランスシートは軽くなり、多くの効果が見込めます。例えば不動産を売却すると、そこで生まれたキャッシュで借入金が返済でき、総資産が減ります。そして「自己資本比率」や会社の総資産を使ってどれだけ売上高を生み出したかを示す「総資産回転率」が高まり、信用力や資金調達余力の向上が期待されます。また近年ステークホルダーから求められている「ROA(総資産利益率)」などの経営指標が改善することで、資産を有効に活用している、つまり経営効率が良好だと評価される可能性があります。

4.価格下落や災害などのリスクとコスト低減

不動産を保有する以上、市場の動向によっては価格下落と減損対応のリスクはつきまといます。また老朽化していれば修繕費がかさみ、適切な管理・運用を考えたライフサイクルコストも無視できません。災害などによるリスクもあります。これらの不安要因から身軽になれる効果は、事業継続の上で心強いものです。

一般化してきた「セールス&リースバック」

不動産のオフバランス化の手段としては、売却と同時に譲受人から賃貸して継続利用する「セールス&リースバック」が代表的です。

新型コロナウイルスの流行によりオフィスやテレワーク環境のあり方が見直され、企業も資産や資本効率について新たな課題を抱えています。かつてセールス&リースバックは、窮地に陥った企業が再起を図る施策というイメージもありましたが、2010年代後半から一般的な財務戦略として定着。今では株価が上昇するケースもあり、資本効率アップが前向きに評価されているため、コロナ禍において著名企業がセールス&リースバックに乗り出すケースが相次ぎました。

検討のフローと、複雑さゆえの注意点

実際にオフバランス化を検討するにあたっては、意思決定すべき事柄が多く、その手法も複雑で、関係者が多くなることに注意が必要です。

例として、セールス&リースバック取引のフローを考えます。対象の物件を決めるために、まず「自社で使い続ける価値(重要度)」と、売却時に評価される「市場売却価額」とを天秤にかけます。その上で、立地や収益力、類型(土地や建物)などで絞り込みます。類型ひとつとっても売却後の自社の立ち位置や建物に対する自由度、会計処理が変わってくるため、さまざまな想定に基づいて精査します。
対象の絞り込みと並行して売却先も考え、続いて具体的なスキームを検討します。リースバックを受ける際に不動産を証券化する方法を選んだ場合、その代表的なスキームに当てはめると、受益者である合同会社の他、不動産の信託受託者やアセットマネジャー、プロパティマネジャー、金融機関といった多くのプレイヤーが関わります。


全体的なスキームの考案をはじめ、ワンストップで相談できる機関があれば頼りたいところです。国内最大の店舗ネットワークを展開し、不動産鑑定士や宅地建物取引士ら多数の「不動産のプロ」を抱えるりそな銀行は総合的なコンサルティングが可能です。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年9月22日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
記事に関するお問い合わせは、お手数ですがメールにてご連絡をお願いいたします。