要注意!あなたのそれもハラスメント!?

セクハラ、パワハラだけでなく、出産・妊娠に対するマタハラ、育児のための休暇や時短勤務を取得する男性へのパタハラなど、ハラスメントの種類は多様化しています。職場におけるパワーハラスメント対策は事業主の義務となり、関連する法律も年を追うごとに改正が続いています。
基本的にハラスメントは受け手の判断によることが多く、双方の認識の違いもありますが、職場におけるハラスメントと認定される条件が厚生労働省の資料などで公開されています。ハラスメントが発生すると職場環境の悪化にもつながり、事業に支障をきたす可能性もあります。
何がハラスメントにあたるのか、今一度ハラスメントの種類と実態を整理してみましょう。

防止措置を施すべき職場のハラスメント

職場におけるハラスメントについては、事業主に防止措置を講じることが義務付けられています。厚生労働省が対策すべきハラスメントとしてガイドラインを公開している3種について見てみましょう。

1.職場におけるパワーハラスメント

職場において行われる、
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。

厚生労働省パンフレット「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました! ~~セクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策とともに対応をお願いします~~」

以上のように規定されています。具体的には身体的・精神的な攻撃にあたるもの、業務上正当性のない理不尽な要求、個人を対象とした嫌がらせなどが、職場におけるパワーハラスメントと区分されています。②に記載の通り、基本的に業務上の正当性が問われますので、「こんなことくらいで」が通用するものではありません。

2.職場におけるセクシュアルハラスメント

職場におけるセクシュアルハラスメントは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な⾔動」に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されることです。

厚生労働省パンフレット「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました! ~~セクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策とともに対応をお願いします~~」

以上のように規定されています。
つまり、「拒否されるような性的な発言・行動をすることで相手にダメージを負わせることはセクハラ」であり、「拒否されたからといって減給や解雇、昇進対象からの除外などで報復すること」もセクハラとして防止措置の対象になるということです。
自社内だけでなく、自社から他社の労働者に、また他社から自社の労働者にセクハラが行われることについても同様です。

3.職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント

職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントとは、「職場」において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されることです。
妊娠の状態や育児休業制度等の利用等と嫌がらせとなる行為の間に因果関係があるものがハラスメントに該当します。

厚生労働省パンフレット「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました! ~~セクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策とともに対応をお願いします~~」

以上のように説明されているのが、いわゆるマタニティハラスメントです。
「妊娠・出産したことを理由に解雇等の不利益を示唆する・実行する」、「産休・育休などの制度利用を阻害する」、「言葉や行動で嫌がらせをする」ことを措置の対象としているものです。

他の代表的なハラスメント

■セカンドハラスメント

パワハラ・セクハラ等の被害を報告したことで、周囲から嫌がらせを受ける二次被害を受ける事態。

例)
セクハラをやめてくれ、と訴えかけたところ、「その程度で部署の和を乱そうとするなんてどうかしている」「自意識過剰」などと周囲から責められるようになった

■モラルハラスメント

無視、人格否定、故意に失敗がわかっている仕事を依頼するなど、精神的な暴力、嫌がらせ。

例)
明らかに無理な仕事量の業務を命じられ、失敗すると衆人環視の中で罵倒された

■ジェンダーハラスメント

固定的な性別役割分担意識に基づいた発言や行為。採用条件で業務上の正当性なく男女で条件が異なる場合なども、男女雇用機会均等法に反するような性差別的行為が該当する。性的いやがらせであるセクハラに発展することも。

例)
・女性社員は他の社員への朝のお茶汲みが業務になっている、
・「男なんだから、この仕事はやって当然」という発言

■アルコールハラスメント

飲酒に関連する嫌がらせ行為(強引に飲ませるなど)や迷惑行為(酔って相手に暴言・暴力を振るうなど)。

例)
「まさか私の酒を断りはしないよね?」という言動

ハラスメントの発生を防ぐには?

理不尽ではない普通の発言も、ハラスメントとして本人に受け止められるケースは多くあります。特に信頼感のない相手からの言葉は、攻撃的だと受け取られることが多くなりがちです。
配慮が逆にハラスメントになる可能性もあります。例えば、上司が部下に「この作業は(危険性が高いので)やめて(もっと安全な)他の作業をして」と言ったとして、発言の()内を読み取ることは、日頃からの信頼関係がなければ難しいでしょう。
ハラスメントが成立するかどうかは、人と場合によることもありますが、基本的に相手の立場を思いやり、嫌がらせと思われるような行動をしないことが大事です。「こんなことは普通のこと」、「自分の時代は当たり前だった」という固定観念にとらわれず、人と立場によってそれぞれ違う常識があり、互いに理解し合うことが大切といえるでしょう。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年4月4日時点の内容となります。
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