高度人材の採用、成功のために考えたいポイントは?

ハイエンド人材の採用に成功し、自社を大きく飛躍させることに成功した会社は、採用に際してどんなことに取り組んでいるのでしょうか? 現役コンサルタントの転職支援を手がけるアクシスコンサルティングの法人営業本部本部長、橋爪智也さんに中堅・中小企業がハイエンド人材を採用する際に考えるべきこと、取り組むべきことについて、お話を伺いました。


橋爪智也

橋爪智也 アクシスコンサルティング 法人営業本部 本部長
北海道大学大学院農学研究科修了。外資系企業での医療機関向け営業を経て、人材業界において法人向け採用コンサルティング、キャリア支援に長年従事。ヘルスケア領域からエグゼクティブ人材、IT・Web領域まで幅広い分野で豊富な採用支援実績を有する。プレイヤーとしての実務経験に加え、営業責任者や組織マネジメントの立場で事業拡大、人材育成、組織強化を推進。2024年1月よりアクシスコンサルティング株式会社に参画し、法人営業本部 本部長として企業の経営・人材課題の解決に取り組んでいる。

中途採用しやすい職種、しにくい職種

高度専門人材と一口に言っても、採用の見極めや難易度は職種の性質によって大きく二つに分かれます。「機能特化型の専門職」と「変革を牽引する経営人材」です。

前者は、デジタルマーケティング、経理財務、データサイエンスといった「機能的・専門的な職種」ですが、この領域は中途採用や外部活用が比較的しやすいといえます。これらの職種は期待される実務能力が明確であり、選考プロセスにおいてもケーススタディや実技チェックを通じて能力を見極めやすい特徴があります。正社員採用だけでなく業務委託(スキルシェア)も比較的やりやすい職種です。

一方、後者はCxOや事業部長など、組織のマネジメントや企業変革そのものをリードする職種です。こちらは人材の見極めが非常に難しく、採用の難易度が一気に上がります。現場の人間関係や感情、既得権益が絡む中で変革を推進する役割は、単にスキルがあるだけでは難しく、変革を推進できる人材かどうかを見極めることは容易ではありません。外部活用(業務委託)も難易度が上がります。経営支援をスポットで依頼しようとすると本格的なコンサルティング契約に近くなり、「経営の根幹は内製化したい」「外部のコンサルは苦手だ」と考える中堅・中小企業の経営者にとっては心理的ハードルが高くなりがちです。もし経営変革で外部人材を活用する場合は、「現場の人のマネジメントは生え抜きの自社社員が担い、変革の課題推進を外部人材が担う」といったように、変革テーマを分解して社内と外部の役割分担や受け入れ前提を整えておく工夫が必要となります。

人材採用の成功、失敗を分けるものは何か

高度人材採用の成否を分ける決定的な要素は、「企業側が自社で起こしたい『変革イメージ』や『事業課題』を具体的に言語化できているか」という点に尽きます。「会社をどう変えていきたいのか」「何を任せたいのか」が曖昧なまま、とりあえず役職を設けて求人票を出すようなケースは、下の図のように採用できないケースが増えるほか、採用できたとしても失敗に終わりがちです。

人材像の明確化と採用状況

実際にあった成功事例として、ある中堅企業で「CDO(最高デジタル責任者)を採用したい」という相談を受けました。当初は「デジタルに詳しい人材が欲しい」というご要望でしたが、弊社と対話を重ねて事業課題をひも解いていくと、本当に必要なのは単なるデジタルの専門知識ではなく、既存のアナログな商習慣と、それにしがみつく組織の抵抗を押しのけて事業を変革する「突破力・推進力」であると判明しました。要件定義を「変革をやり切れる人物」と再設定したことで、最適な高度人材の獲得と定着に成功したのです。

また、「CxO制度を導入したい」といった声もよく聞かれますが、CxO制度の導入はあくまで「手段」であり、「目的」ではありません。役職を設置した結果、自社がどのような絵姿になっていると望ましいのか、経営者が意図を掘り下げて言語化しておくことが、失敗に対する防波堤となります。経営者が一人で整理するのが難しい場合は、われわれのようなエージェントを壁打ち相手として活用し、自社の事業解像度を上げる対話を行うことが有効です。

高度人材、専門人材の定着に必要なこと

苦労して優秀な高度人材を採用・活用できたとしても、定着して活躍してもらわなければ意味がありません。ハイエンド層の定着において、単なる給与水準や一般的な福利厚生の充実以上に決定的な影響を与えるのが「裁量権(自由度)」の設計です。

転職市場において、ハイエンド人材に「新天地を選ぶ軸」を尋ねると、多くの人が「自分の裁量権を発揮できる環境かどうか」を挙げます。彼らにとってのやりがいや定着の条件とは、任された領域の中で自分の意思で判断し、実行できる自由度が担保されているかどうかに直結しているのです。もちろん、裁量権とは「野放しにする」ことや「責任だけを押し付ける」ことではありません。

彼らに活躍してもらうためには、明確な役割定義と適切な権限の付与に加えて、経営陣との意思疎通も重要です。トップダウンで裁量を承認し、バックアップする体制も必要です。経営側が正しく責任と権限を設計し、裁量権を発揮し続けられる環境を整えることこそが、高度人材のエンゲージメントと定着率を高める手立てとなるのです。

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2026年9月18日時点の内容となります。
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