生産・研究開発拠点などの見直し・再構築

企業不動産(CRE=Corporate Real Estate)の効果的な活用を追求するCRE戦略が企業経営に不可欠なものになりつつあります。そうした背景を受けて、生産拠点や物流拠点、研究開発拠点などを見直し・再構築する企業が増えています。

コロナ禍で激変したCRE戦略

ここ数年、コロナ禍においてグローバルレベルでサプライチェーンは寸断され、これまで築き上げた生産、物流といった企業活動を大きく変化せざるを得なくなりました。なお、物流に関してはコロナ禍前からボトルネックが発生しており、ようやく再構築に着手できる状況になったと見ることもできます。

また、最近では長期化していた中国のゼロコロナ政策によるロックダウンや円安により、企業は中国拠点の移転や国内回帰を進めていました。感染防止のためのテレワークやサテライトオフィスの採用なども、働き方改革と相まって、本社や支店などの事業拠点を見直す流れとなっています。こうした環境の激変はCRE戦略を推し進める大きなきっかけとなっているのです。

生産拠点の見直し・再構築が必要なケース(例)

加えて、上の図のように、生産拠点の見直し・再構築が必要な理由は多岐にわたります。

CRE戦略は企業の成長戦略の一環

かつては保有不動産売却といえばリストラや業績悪化、資金調達難による資金捻出策など後ろ向きのものも少なくありませんでしたが、現在では、むしろ優良企業がさらなる競争力強化や、利益の最大化などを実現するための企業戦略の一環として実施するケースが多く、そうした企業のニュースがマスコミを賑わすことも少なくないようです。

2022年に公表された国内生産拠点の主な再編事例
画像をクリックすると全画面表示されます。

アフターコロナを見据えた動きもあります。コロナ禍では、企業は予期せざる信用不安や資金ショートに備えて現預金を積み上げてきましたが、政府が経済優先策に舵を切ったことで、資産全体の見直しに動き始めています。バランスシート(貸借対照表)を意識した資産見直しだけでなく、事業や生産・物流などの企業活動の変革による損益計算書への影響をも睨んだ総合的なCRE戦略が求められているといえるでしょう。

生産・物流拠点の見直し・再構築をするには、注意も必要です。例えば拠点の集約を考えた場合、ただやみくもに拠点を統廃合してしまっては、BCM(事業継続マネジメント)の観点や有能な人財の流出などといった課題に直面します。また原材料の受け入れから製品の納入といった全体のサプライチェーンを考慮せずに生産拠点や物流拠点を集約すれば、商品の配送距離は増えるので、コスト増になる可能性もあります。

こうした点をしっかり考慮して、最適なフォーメーションに再構築していく、という視点を持つことが重要になります。そうすることで、企業活動の最適化によるメリットを十分に享受することができるでしょう。

CRE戦略の検討には幅広い視点が必要

生産・物流拠点の見直し・再構築には、移転や新設、集約、廃止など様々な対応が考えられます。例えば新たな場所に拠点を設けるのであれば、前述のサプライチェーンや雇用の観点のみならず、その場所・エリアの災害リスクなども考慮する必要があります。

また拠点を廃止する場合、廃止した拠点の土地・建物などをどうするのか、という課題が生じます。例えば収益不動産(商業施設や物流施設など)として活用を目指すのか、それとも売却するのかなどの判断を迫られるからです。

それゆえCRE戦略の検討には、予め幅広い視点を取り入れることが不可欠で、そのためには経営層が直接、深く関与することに加え、外部の専門家の力を借りることが必要です。

りそな銀行にはこうした企業の拠点の見直し・再構築といったCRE戦略についてお手伝いをし、成長をサポートしてきた経験があります。CRE戦略の策定でお困りでしたら、是非、お声掛けください。

不動産の有効活用について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年2月10日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
記事に関するお問い合わせは、お手数ですがメールにてご連絡をお願いいたします。