不動産レポート2023年夏(関西版)

3か月に一度、マーケット情報や不動産に関する市況、最新のトピックスなどをお届けします。本記事は2023年夏に発行された、関西向けの内容となります。

【Market REVIEW】宿泊・旅行需要はコロナ禍前の水準へ

  • 新型コロナウイルスで大きなダメージを受けた大阪と京都の宿泊・旅行業界においても、コロナウイルスの5類移行、政府による旅行支援策、入国規制撤廃等により回復が進んでいます。
  • 5月の2府合計の延べ宿泊者数は6,961,080人と、コロナ禍前2020年1月の6,692,020人を4.0%程上回っています。コロナ禍以前は、外国人宿泊者数のうち30%程度を占めていた中国からの旅行客も足元では8.1%まで落ち込んでいますが、8月10日に約3年半ぶりに訪日団体旅行が解禁されたことで、さらなる増加に期待が高まります。
  • 一方、働き手不足による需要の取りこぼしも懸念されます。コロナ禍で離れた従業員の戻りが鈍く、帝国データバンクの「人出不足に対する企業の動向調査(2023年7月)」によると、「旅館・ホテル」の正社員の人出不足企業割合は72.6%と高水準が続いています。
大阪府・京都府における延べ宿泊者数(2府計)
(出所)宿泊旅行統計

経済成長率はプラス、インフレ率も鈍化へ

  • 2023年第一四半期の国内実質GDP成長率は2.7%(前期比年率換算、季節調整済)とプラス成長になりました。内需が1.0%と新型コロナウイルスの影響緩和によるサービス消費の回復等によりプラスに、一方、外需は海外経済の減速等により▲0.3%となりました。
  • ESPフォーキャスト8月調査によると、2023年7~9月期の消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)の前年同期比は2.83%と鈍化するとしています。以降は25年1~3月期の1.35%まで低下が続き、23年度は2.67%、24年度は1.71%と予測しています。一方、5月調査時点よりも上昇率の予測は上振れており、今後もインフレ動向に関心が高まります。
実質GDP成長率(実績・見通し)
(出所)内閣府、ESPフォーキャスト2023年8月(見通し部分)

百貨店売上、外食消費ともに好調

  • 主要百貨店の売上高は回復トレンドが継続しており、足元では2019年同月を上回って推移しています。百貨店協会によると6月の全国百貨店売上高は前年同月比+7.0%と16か月連続でプラスとなっています。高付加価値商品の増勢に加え、円安効果と入国規制の終了によるインバウンドが売上高を押し上げました。
  • 外食消費も回復しており、日本フードサービス協会によると、6月の全体売上は前年同月比+11.8%となっておりますが、店舗数に関しては2019年の水準までには至っておりません。
主要百貨店売上高変動率(2017年=100)
(出所)各社HPを基に作成

近畿圏の中古マンション価格は横ばいで推移

  • 東京カンテイによると、近畿圏の70㎡あたり中古マンションの平均価格は、2023年6月では前年同月比+3.9%の2,901万円となっています。大阪府でも同+2.9%の3,092万円となっており、昨年よりも価格は上昇していますが、前月比では▲0.1%と横ばいになっています。
  • 不動産経済研究所によると、近畿圏の新築分譲マンション価格は2023年上期(1〜6月)では平均価格4,774万円(前年同期比+6.0%)、発売戸数は6,075戸(同▲15.9%)となっています。平均価格は1992年以来の高値となっており、㎡単価においては調査開始以来最高値となりました。
近畿圏の中古マンション70㎡価格
(出所)東京カンテイ

空室率は低下、賃料は上昇トレンド

  • 大阪では、昨年に2010年以降で3番目に多いオフィス供給がありましたが、空室率と賃料ともに小幅な動きにとどまりました。
  • 三鬼商事によると、7月の大阪ビジネス地区の空室率は4.61%(前月比▲0.24ポイント)と4か月連続で低下しており、拡張移転等の動きから空室面積は1か月間で5,300坪程度減少しております。既存ビル・新築ビルともに低下しており、それぞれ4.48%(同▲0.23ポイント)・22.71%(同▲0.56ポイント)となっています。
  • 平均賃料は3月以降上昇トレンドにあり、7月では11,911円(同+0.3%)となっています。
大阪ビジネス地区のオフィス空室率・平均賃料
(出所)三鬼商事
※大阪ビジネス地区=梅田地区、南森町地区、淀屋橋・本町地区、船場地区、心斎橋・難波地区、新大阪地区

【Market TOPICS】不動産鑑定問合せ件数の推移(関西圏)

  • 不動産鑑定の問合せ件数は、今後の不動産売買の先行指標と考えられます。
  • 関西圏の不動産鑑定問合せ件数は、2020年を上回る水準で推移しています。レジデンスに対する問合せの割合が最も多く、足元ではオフィスの問合わせが増加、前年比でインダストリアルの割合は減少傾向にあります。
不動産鑑定問合せ件数(関西圏、2020Q1=100)
アセット別鑑定問合せ件数(関西圏、2020Q1=100)
(出所)大和不動産鑑定
(注)2020年Q1期を100とする指標

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年9月22日時点の内容となります。
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