不動産「持ったまま」で良いの?売却を考える時期とは

企業にとって保有不動産の活用は、経営戦略に大きく影響を及ぼします。特にコロナ禍でビジネス環境が変化する中、上手に利活用できていない不動産はビジネスの足かせとなって企業の体力を奪いかねません。

何か活用策を、と思いつつ後手に回っている経営者の方は多いのではないでしょうか。
もし具体的な対策が難しいというならば、思い切って売却を検討してみるというのはいかがでしょう。資産のスリム化・財務負担の軽減によって、新たな投資資金を確保できるという利点があります。

ただし、いつ売却するかについては慎重な判断が必要です。ベストなタイミングを見極めるポイントを考えてみましょう。

多額の費用で赤字になる前に

アパートや店舗など、収益を生む不動産であっても、経年劣化に伴い修繕費やメンテナンス費用が必要になります。特に築20年を超えると劣化の度合いが増し、設備に不具合が生じるなど、修繕コストが大きくなるのが一般的です。

費用がかさめばキャッシュフローの悪化に直結します。収益を生むどころか、赤字を生んでしまうことも。そうなる前に売却を検討することが必要です。

売却益が見込めるタイミングがチャンス

物件の所在地やエリアの人気上昇で、保有を始めた時期より価格が高騰した場合、そのタイミングで売却できれば、差額が利益(キャピタル・ゲイン)となります。売り時を逃さないためにも、定期的に保有物件の市場価格を把握しておくことが重要と言えるでしょう。

減価償却期間が終了する

建物の価値が年々下がることを前提に、その減少分を費用として計上するのが減価償却費です。耐用年数にわたって計上していきます。

しかし、その期間が終了すれば計上できる費用が減るため、課税所得が増えます。これに伴い法人税や法人事業税など、税金の負担が増加します。建物の耐用年数を把握し、費用計上できなくなるほど古くなる前に売却を検討する必要があるでしょう。

価値を高めて売却する方法も

単純に売るのではなく、価値を高めることで、より高く売却する方法も考えられます。例えば建物をリフォームしたり、リノベーションしたりすることで価値を高める、建物を解体することで価値を高める、などの方法があります。市場価値を理解した上で、買い手の需要があると判断できる場合は検討の余地があるでしょう。

売却のメリット・デメリット

不動産を手放す場合のメリット・デメリットをまとめてみましょう。

メリット

  • 資産の現金化:新たな投資資金を確保できます。キャピタルゲインなどで大きな利益を得られる可能性もあります。
  • 維持管理費用の解消:メンテナンスや経年劣化に対応する費用が不要になります。
  • 税負担の軽減:固定資産税をはじめとする税負担を減らすことが可能です。
  • 保有リスクの解消:事故や火災、風水害などの災害リスク、あるいは不法侵入リスクが解消されます。

デメリット

  • 収益機会の喪失:家賃収入などが得られる機会はなくなります。
  • 売却費用発生:譲渡時に不動産取引にかかる諸費用が発生します。思ったより高額になるケースも少なくありません。
  • 売却成立までの時間:買い手を見つけたり、交渉が長引いたりする可能性も考えられます。
  • 売却損の可能性:売る時期の見極めを誤ると、売却金額で大きく損をするリスクがあります。

「コスト>収益」となる前に、プロに相談

保有不動産の収益よりコストが上回る状態になってからの売却検討では、既に最適なタイミングを逃してしまっていることもあります。

また、不動産にはさまざまな条件や事情がありますので、周囲の環境や経済状況、地価などを総合的に踏まえたシビアな判断が必要です。

思い入れがある物件は手放すことに躊躇するかもしれませんが、売却によって企業価値を高められるなら一考に値するのではないでしょうか。それでも判断に迷うようであれば、経験豊富な専門家に相談するのがおすすめです。

不動産の有効活用について、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年11月10日時点の内容となります。
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