企業が社員の信頼を獲得するための3つの要素

物質的な豊かさを手に入れた現代社会では、企業はかつてのように大量に生産し、利益を上げることだけを追い求める時代ではありません。それと同時に、社員が企業に求めるものも給与だけではありません。それは企業と社員が、労働の対価としてお金をもらうだけのつながりではなく、信頼関係の構築が重要であることを意味します。
そして人間関係と同様に、企業と社員も『信頼している相手に信頼されている状態』が最も力を発揮できるというもの。

では、企業が社員からの信頼を得るためにはどのような取り組みがあるのでしょうか?具体的な取り組み事例をご紹介します。

適切な人事評価制度の実践

企業が社員からの信頼を得るためには、経営層の言葉と実際の指示や行動が一致している必要があります。中でも人事評価は重要ですが、実は企業理念を最も体現しているのが人事評価という認識があまり知られていません。

例えば、「弊社が育てる(求める)のは、『これまでにない画期的なアイデアを実践できる人材』『変革を自ら主導できる個性的な人材』です。」と公表しておきながら、実際には年功序列の昇進や新卒一括採用という型にはまった制度を実施していれば言行不一致と見なされるのは当然のことです。

自社の理念を実践できる能力を有していたり、事業への貢献で成果を出している人物には、年齢や社歴に関係なく適切な評価を下すことが求められます。また、そのような適切な能力主義や成果主義の導入は、画一的な年功序列による制度よりも、無駄な給与支払いがなくなることにもつながり、企業利益にも影響します。

とはいえ人事制度は企業によって多様で、複雑なものです。安易な成果主義の導入は発展途中の社員のモチベーションを下げてしまうことにもなりかねません。自社内でノウハウがない場合は、人事コンサルティング会社に相談するのも一つの手と考えましょう。

退職金・企業年金の導入

人生100年時代となった現代では、多くの社員が老後の生活に対して不安を抱えています。企業が退職後まで見据えた制度を導入してくれると、老後の不安は軽減し、安心感につながります。安心感は帰属意識を育てることになり、さらに、この会社のおかげで安心して働けるという働きがいにもつながります。働きがいのある会社だと思う社員が多い会社は、売上の対前年伸び率が20%以上も大きいとのデータもあります。(※1)

最近では退職金の一括支払いだけでなく、企業年金制度との併用を採用する企業も増えています。社員にとってはさらに退職後の生活に安心感を持って今の仕事に集中することができ、これらの制度の充実によって企業から大切にされていると感じることができるでしょう。

業務の効率化への投資

社員からの信頼獲得の一つとして見落としがちなのが、業務や社内手続き等の効率化のための投資です。ストレスフリーに関する意識調査(※2)によると、職場・仕事でストレスを感じることの第1位は「仕事の進め方が非合理的・慣習的」、第2位が「仕事量が非常に多い」、第3位が「業務に偏りがあり不公平」となっています。これらの社員の声を放置し続けることは、会社は自分達のことを考えてくれていないという思考へつながり、早急な改善が必要です。単純作業やアナログの事務作業は、やりがいの低下やストレスの原因にもなります。

DXによる業務効率化が進んでいる現代では、自動化・省力化できる業務が見つかる可能性は高いです。導入には初期投資が必要になる場合もありますが、そんな時こそ社員からの信頼を獲得するチャンスでもあります。DXには効率化以外にも業務全体が見える化されることで業務量の多寡が可視化され、属人的で見えにくかった業務も社員同士で共有されることになり業務の偏りが防止される効果も期待できます。また企業としても、DX推進によるペーパーレスなどの取り組みは資源を大切にするということでもあり、社内のためのツール利用がそのまま外部へのPRになる場合もあります。

社員へのための環境整備はコストではなく投資

企業の一員として力を発揮するためには、企業と社員の信頼関係が重要です。今回ご紹介したような取り組みには、瞬間的にコストや労力を要することもあるかもしれません。しかし、企業側は社員に対する姿勢を示すことができ、社員の愛社精神を育てることや、満足度の向上につながります。その結果として社員の「働きがい」が向上し、前述したように企業の利益にも直結すると心得ましょう。

(※1)株式会社働きがいのある会社研究所(Great Place to Work® Institute Japan)
・「働き方改革」で業績は向上するのか? ~”働きやすさ”、”やりがい”と業績の関係~(2018.07.12)

(※2)株式会社プラネット 日用品流通の情報基盤を運営するプラネット
意識調査『Fromプラネット』 「ストレスフリーに関する意識調査」
 

【該当するSDGs目標】

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年4月4日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
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