中小企業こそDXが必要な理由

DXを目的化してキラキラした会社になろう

大企業と比べて知名度が劣る中小企業にとって、人材の確保は売上拡大や販路の開拓と並ぶ重要な経営課題です。実際、中規模企業の57.6%、小規模企業の44.2%が人員の不足を感じています(下図参照)。人材は会社の根幹です。優秀な若手を確保できるかどうかは、会社の存続に大きく影響してきます。かつては働き手が余剰気味でした。求人広告を出せば、希望者がやってくる。入社した後は会社のやり方に従ってもらえばよかったのです。コロナ禍で一時下落した有効求人倍率も上昇基調にあり、再び人員不足の問題が大きくクローズアップされそうです。

中小企業の半数以上は「人員不足」

通常、DX(デジタルトランスフォーメーション)は、会社の戦略や経営者の希望を実現するための手段であって目的ではありません。しかし、「人手が不足している」「若者が来てくれない」「社員が定着しない」と、人材確保に苦労している中小企業には、むしろ「DXをあえて目的化して、キラキラした会社になる」ことをお勧めしています。

なぜでしょう?

あなたが就職活動中の学生だとしましょう。紙と電話とファックスで仕事をする旧態依然として非効率な職場と、パソコンとスマホ・タブレットで仕事が完結する効率がよい職場――。給料が同じなら、どちらで働きたいと考えるでしょうか?子どものころからデジタルツールに親しんだミレニアル世代、Z世代の若者なら、少々給料が安くとも、DXを推進している会社を選ぶかもしれません。デジタルツールを駆使することに抵抗がないですし、効率を重視する意識が非常に強いからです。実際、就職活動で「テレワークが可能」を重視する学生も増えています。

働く人の気質も変わりました。昔は「会社の中の自分」でしたが、現代の若者は「自分の人生の中に会社」があるといわれています。オフィス環境も含めて、若い社員に「働きたい」と思わせる会社でなければ、存続すら危うい世の中になったのです。

すでにDXを実施している会社なら、ホームページなどで積極的に外部に発信しておくといいでしょう。「古臭い業界だと思っていたけれど、実は先進的な会社なんだ」と意外感を持って受け止められて、採用にも良い効果があるはずです。

DXで従業員のエンゲージメントを高める

採用だけではありません。もともと中小企業は大企業と比べて離職率が高い傾向にあります。厚生労働省が公表している「新規学卒就職者の離職状況」(2019年3月卒業者)によると、従業員数が1000人以上の企業の大学卒業者の離職率は25.3%であるのに対して、従業員数30〜99人の企業では39.4%、5〜29人の企業で48.8%、5人未満の企業では55.9%にも上ります(※1)。離職率が高ければ、新卒・中途の採用コストや従業員教育の費用もかさみます。

会社の経営方針が見えなかったり、仕事のやり方が時代遅れだったり、離職につながる要因は人それぞれですが、DXを進めることでそれまで属人的に管理されていたデータやノウハウが可視化され、全社で共有できるようになります。

DXには経営者のビジョンや戦略の浸透が不可欠ですし、業務フローやノウハウも明文化されていくことで、従業員の漠然とした将来への不安は、DXを実施する前より確実に減るはずです。さまざまなデジタルツールを業務レベルで使いこなすことで、今どきの若手が仕事に求める「成長している実感」も得られるはずです。

「働き続けたい」「勤めていて誇らしい」といった既存の従業員のエンゲージメント(会社への愛着心)を高める上でも、DXは有効なのです。

70代でもDXは実践できる

「うちはオールドエコノミーで、デジタルは関係ないから」と、そもそもDXに関心がない中小企業も少なくありません。経営者がDXを実施したいと考えていても、「従業員はデジタルが苦手で」「スマホを持っていない社員が5人もいる」と、従業員のITリテラシーの不足を理由に二の足を踏んでいる会社もあります。

しかし、DXは企業経営そのもの。会社として決断してやり抜くものです。はじめは躊躇していた従業員も、慣れてくれば「これ便利だね」とって言って使いこなしてくれるケースが大半です。以前、70歳を超えた高齢の方が「なんだこれ?」と言って恐る恐るDXツールを触っていたことがありましたが、しばらくしたら自由自在に使っていて驚いたこともあります。

新たな経営戦略や経営者の実現したいX(トランスフォーメーション)が明らかになっていれば、どこかで必ずD(デジタル)が活用できる場面があるはずです。りそなデジタルハブは、DXの全体提案から、DXツールの選定・最適化、推進時の伴走まで、DXのあらゆる局面でお手伝いが可能です。中小企業の場合「DXの推進役がいない」という会社も珍しくありませんが、連携している会社を通じて、最適な人材を紹介することも可能です。ぜひ、ご相談いただければ幸いです。

(※1)厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(2019年3月卒業者)

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上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2023年4月7日時点の内容となります。
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