パワーナップってなに?睡眠で業務効率化?

「パワーナップ」という言葉をご存じでしょうか。
一言で言うと「短時間の昼寝」で、健康経営や従業員満足度の観点から注目を集めています。厚生労働省でも推奨されるこの概念、福利厚生制度の1つに加える動きも出始めています。詳しく見ていきましょう。

パワーナップの基本情報

パワーナップとは、1998年にアメリカのコーネル大学の社会心理学者、ジェームス・マース氏が提唱したもので、昼寝を表す「nap」と、パワーアップ「power up」を掛け合わせた造語です。具体的には昼の12〜15時ごろにとる短い睡眠のこと。一般的な社会人の生活に照らすと起床から6〜7時間後くらいに眠気が来ることから、このタイミングでの昼寝にさまざまな効果が期待されます。
例えば、気力体力の回復によるパフォーマンスの向上はもちろん、午前中に動かした脳のメモリがリセットされ、すっきりとした状態で午後の仕事を進められるなど、まさに「昼寝でパワーアップ」できるというわけです。

日本でもこれを制度として導入する企業が少しずつ現れています。
あえて制度化するのは、「昼寝を良しとしない風潮」が日本には色濃くあることも理由の1つ。睡眠白書(※1)によると、「寝たいけれど許されない」と読み取れる調査結果も出ているほどです。

パワーナップ制度の導入による効果

まず第一に、従業員の業務に対するパフォーマンス向上が見られるでしょう。ゆっくりと休憩を取れる、とりわけ睡眠を取れることで大きな効果が見込めます。
また、周りの目を気にせず休憩をしっかり取れるという企業風土ができることで、従業員満足度も向上すると考えられます。

睡眠不足や睡眠の質の悪化などが続くと、人は十分なパフォーマンスを発揮できず、何より健康に悪影響を及ぼします。健康管理は個人の責任だけではありません。睡眠を通して企業側からも働きかけることで、仕事の効率や質の向上はもちろん、企業イメージの向上にも結びつきます。

これは従業員の会社に対する愛着心(エンゲージメント)の醸成や、人材採用において他社との差別化にもつながる可能性があるのです。
三菱地所では30分間のパワーナップを制度化したことで、業務効率が上がったという実績もあるそうです。(※2)

効果的なパワーナップのコツ

では、パワーナップをとる際のポイントをご紹介します。

寝過ぎない

15〜30分程度がパワーナップにはちょうど良い長さと言われています。それ以上寝てしまうとパフォーマンスの低下が見られるのだそう。アラームを設定するなどして、寝過ぎないようにしましょう。

リラックスできる寝場所を確保

自分が安心できる環境を確保しましょう。一般的には、少し雑音がある程度の方が良いようです。寝る姿勢は横になれるとベストですが、オフィスでは難しい場合もあるでしょう。ただ、机に伏して眠るのは顎の歪みや食事の逆流などの可能性があり、あまり推奨されません。

暗くする

照明は明るすぎない方が良いでしょう。アイマスクなどを活用するのもおすすめです。

パワーナップ導入にあたり、企業がすべきこと

このように、効果的なパワーナップを推奨するのであれば、まずは「昼寝をして良い」という風土を会社側が作るようにしましょう。制度として明文化することが大切です。
また、三菱地所のように仮眠専用の部屋を設けているケースもありますが、なかなかハードルが高いもの。自社でできる範囲から始めていきましょう。

「従業員が望む形のパワーナップ制度を作る」ことをテーマに、従業員とのコミュニケーションを取る機会を生み出せるかもしれません。従業員自身も自分の健康がもたらすさまざまな効果に目を向けるようになるはずです。「働きがいのある会社づくり」の一歩として、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

(※1)日本睡眠科学研究所 西川 睡眠白書2019~日本人の睡眠調査~(布団の西川)
日本睡眠科学研究所 西川 睡眠白書2023~日本人の睡眠調査~(布団の西川)
(※2)厚生労働省SMART LOFE PROJECT 三菱地所の導入事例

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2024年2月22日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
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