「対応してない」はリスク!?身近に迫るSDGs

持続可能な開発目標、SDGs。国連サミットで採択された17のゴール・169のターゲットから構成され、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。

すでに対応を発表している企業も多くある中、対応の重要性を認識しつつも、まだ取り組むことができていないことに焦りを感じている方や、そのような余裕はないと半ば諦めている方もいるのではないでしょうか。

今後はSDGsへの対応をしていないことが重大な経営リスクに発展する可能性があると指摘されており、対応はいまや必須のものとなりつつあります。その理由を詳しく見ていきましょう。

SDGs対応による企業活動の変化

SDGsの取り組みといえば環境、人権への配慮などが思い浮かぶのではないでしょうか。製品やサービスのコストパフォーマンスが優れていても、環境や人権に悪影響を与えていることが分かると、企業そのもののイメージを大きく損ねるのは各国の報道のとおりです。また、自社の取り組み自体に問題はなくても、例えば原料の仕入れ先など、取引先で問題が発覚した場合も同様です。取引相手の実態を知らなかった場合でもイメージの悪化は先行し、納入先との取引・売上・社会的評価・株価など経営への影響は免れないと言ってもいいでしょう。

これはSDGsに未対応でいることのデメリットとして挙げられる項目のひとつです。
また、対応することのメリットとしては、企業が新たに取引や提携を検討する際にSDGsへの対応を判断基準とする可能性があることが挙げられます。

対応している企業のイメージは良化し、対応していない企業は選択的に淘汰される可能性が出てきており、サプライチェーン全体でSDGs対応を実施しようとする変化が表面化してきています。

「SDGsに対応しているか」を軸に企業を評価する見方の強まり

社会のSDGsに対する意識は高まっており、企業からしても一般消費者の行動や従業員の行動に影響が出る、という身近なところまで迫ってきています。SDGsが企業を評価・判断するための新しい軸に加わっている、その例をご紹介します。

【一般消費者からの評価】

社会要請の変化により、SDGs対応は「イメージの良いもの」として認識されつつあります。よりイメージの良いものを求める消費者傾向に合致してきていると言ってもいいでしょう。その結果として、一般消費者の購買行動は、SDGs対応と関連の深い、エシカル消費(注1)にシフトしつつあります。

消費者がエシカル消費を優先的に選択するようになれば、消費行動の変化もより大きいものとなります。この傾向は欧米で先行していますが、消費者庁の調査によると日本国内でもエシカル消費の関心層は3年で36%→59%に上昇(※1)しており、国内で活動する企業にとっても無視出来ないものとなりつつあります。

代表的なエシカル消費の対象としては「サステナブル・ラベル取得商品(MSC認証(注2)、国際フェアトレード認証など)」、「地産地消・被災地産品」などが挙げられます。

(注1)エシカル消費:消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと。倫理的消費。SDGs12番目のゴール「つくる責任 つかう責任」に関連する。
(注2)MSC認証:水産資源や環境に配慮し、適切に管理された持続可能な漁業に関する認証です。

【求職者・従業員からの評価】

SDGsへの対応の有無は、就職活動をしている学生や転職先を探している求職者が企業を見るポイントの1つとして浸透しつつあります。

特に学生と外資系企業に勤めるグローバル人材からの認知度は高く、就職・転職先を検討する際にはSDGsへの対応の有無を考慮に入れているようです。また、そうした就職・転職時の企業選定のポイントとしてだけではなく、入社後の働きがいにもつながります。

「サステナビリティの観点から、将来に向けた事業の成長性はどうか」
「経済的な価値だけではなく、社会的な意義を生み出せる、やりがいのある仕事か」
「ジェンダーや人種などといった、人権への配慮があり、働きやすい環境か」
などといった事柄は、目標とするSDGsのゴールと実際の取り組みから判断することができますし、実際に働く際にもモチベーションになり得るでしょう。SDGsへ対応することで、人材獲得・維持にも繋がっていくと考えられます。

実際に、ある調査では、2023年卒の学生の7割以上がSDGsに取り組む企業の志望度が上がると回答しています(※2)

SDGs社会へ向けて

SDGsは一過性のトレンドではなく、社会要請の変化が名称を伴って表出したものと言えるでしょう。売上や利益の拡大といった明確なリターンが見えないなか、コストをかけてSDGsの取り組みを始めることに二の足を踏んでしまう企業も多いと思います。

一方、将来の事業存続を考えたときに、対応せずにいることは事業リスクと言えます。
事業の存続や成長を遂げていくために、長期的な視点で今からSDGsへの準備・対応をしていく必要があるのではないでしょうか。

※1 消費者庁 エシカル消費(倫理的消費)に関する消費者意識調査報告書の概要について
※2 あさがくナビ 2023登録会員対象 2023年卒学生の就職意識調査(SDGs) 2021年8月版より

SDGsについて、わかりやすく資料にまとめましたのでこちらもぜひご活用ください。

【該当するSDGs目標】

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2022年6月6日時点の内容となります。
上記記事は、将来的に更新される可能性がございます。
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