3か月に一度、マーケット情報や不動産に関する市況、最新のトピックスなどをお届けします。本記事は2026年夏に発行された、首都圏向けの内容となります。
【Market REVIEW】日銀の利上げ加速を織り込んだ長期金利上昇は一巡へ
- 長期金利の指標となる新発10年国債利回りが1996年9月以来の高水準となる2.94%台まで上昇し、節目の3%が目前に迫っています。背景には、日米協調為替介入の効果を維持するため、日銀がこれまでよりも速いペースで利上げを進めるとの見方が広がっていることがあります。実際、短期金融市場が織り込む、次回9月会合で0.25%の追加利上げが決定される確率は、約8割に達しています。仮に、9月の追加利上げが実現すれば、前回利上げからわずか2会合目での実施となり、これまでの「半年に一度」という緩やかなペースを覆す「利上げペースの加速」が明確になります。また、利上げの最終到達地点(ターミナルレート)の織り込みを示唆する5年物国債利回りは過去最高の2.16%まで上昇し、日銀が推計する中立金利(景気に対して中立的な政策金利水準)のレンジ(1.1%〰2.5%)の上限が視野に入っています。しかし、国内景気に目を向けると、GDPはプラス成長を維持しているものの、個人消費や設備投資に力強さは欠けています。すでに30年ぶりの高水準である1%まで引き上げられた利上げの影響を慎重に見極めるべき局面であることを踏まえると、足元で市場が織り込む日銀の利上げは、「最速」かつ「最大級」の領域に近づいていると言えます。
- 他方、足元では各国の財政懸念や、中東情勢の緊迫化による原油価格の高止まりなどを背景に、世界的に長期金利が上昇傾向にあります。国内でも、今後は2027年度予算編成が進むにつれて、財源や国債の需給バランスに市場の関心が集まる見通しです。金融政策の観点からは長期金利の上昇余地は限定的とみられますが、国内の財政政策や海外の金利上昇の余波には引き続き注視が必要と考えます。
(りそなアセットマネジメント チーフストラテジスト 下出 衛)
世界経済は緩やかな成長が続く見通し
- 世界的に地政学・政策面での不確実性が続くなか、IMFによると世界経済成長率は2026年は3.0%、2027年は3.4%となる見通しです。中東情勢の影響やエネルギー価格の上昇が景気の下押し要因となる一方、AIの普及を背景としたテクノロジー関連の投資拡大が下支えになるとしています。日本の成長率は、2026年が0.6%、2027年が0.7%と低い伸びにとどまる見通しです。エネルギー価格の上昇が景気の下押し要因となる一方、政府による財政支援策がその影響を一部緩和するとみられています。

訪日外客数、宿泊者数は伸びが一服
- 訪日外国人旅行者数は高水準で推移しているものの、足元では前年を下回っています。2026年6月の訪日外客数は約315万人(前年同月比▲6.8%)、上半期累計では約2,108万人となりました。一方、台湾、韓国、米国など15市場では6月として過去最高を記録しており、インバウンド需要は底堅さもみられます。
- 国内延べ宿泊者数も、2026年6月は4,678万人泊(同▲6.5%)と減少しました。日本人・外国人ともに前年を下回っており、宿泊需要は高水準を維持しつつも、足元では伸びに一服感がみられます。

新築マンション価格は上昇が継続、供給は減少傾向
- 不動産経済研究所によると、2026年上半期(1~6月)の首都圏における新築分譲マンションの平均価格は10,135万円(前年同期比+13.1%)となり、上半期として初めて1億円を超えました。発売戸数は7,989戸(同▲0.8%)と5年連続で減少し、供給が低水準で推移する一方、定期借地権付きマンションは886戸(同+39.8%)と大きく増加しました。価格が高騰するなか、定借物件は購入価格を抑えやすいことなどから、需要も高まっていることが考えられます。
- 直近の6月についても、平均価格は10,137万円(前年同月比+10.6%)と二桁での上昇となりました。一方、初月契約率は62.5%と前年同月を上回ったものの、目安となる70%を下回っており、引き続き慎重な姿勢もうかがえます。

空室率の改善と賃料の上昇が続くオフィス市況
- 三鬼商事によると、2026年7月の東京ビジネス地区における平均空室率は1.95%(前年同月比▲1.21ポイント)と改善が進み、2%を下回りました。平均賃料も23,287円/坪(同+4.94%)と、2020年7月の水準を上回っており、上昇率も拡大傾向となっています。
- 東京都の「東京の労働力」によると、2025年の東京都の就業者数は862.0万人(前年比+2.0%)と、前年から増加しました。企業による人員拡大を背景に、オフィス需要の基盤となる就業者数は堅調に推移しており、こうした雇用環境の改善がオフィス需要を下支えし、空室率の低下につながる一因になっていると考えられます。

※東京ビジネス地区=千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
【Market TOPICS】不動産鑑定問合せ件数の推移(東京)
- 東京都の不動産鑑定問合せ件数は、2025年を通じて高水準で推移し、2026年Q1-Q2も前年同期を上回る水準となりました。
- アセット別では、インバウンド需要の拡大を背景にホテルへの関心が引き続き高まっているほか、レジデンスについても底堅い需要がみられています。


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