世の中の「中堅・中小企業」が退職金制度を見直すトレンドは?

人材不足が続くなか、企業には従業員から選ばれるための工夫が求められています。近年は賃上げが進む一方で、給与だけでなく福利厚生や将来への安心感も企業選びの重要な要素になっています。

こうしたなか、従業員の資産形成を支援する制度として、企業型DC(企業型確定拠出年金)やiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)を導入・活用する企業が増えています。

本記事では、企業型DCやiDeCo+の普及状況を紹介するとともに、退職金制度の現状を確認するポイントや、実情に合った制度を検討する際の考え方について解説します。

普及が進む企業型DCやiDeCo+

企業年金や資産形成支援制度は、大企業だけのものではなくなっています。実際に加入者数や制度数は増加傾向にあり、多くの企業が従業員の老後資産形成を支援する環境づくりを進めています。

企業年金のなかでも、企業型DCは普及が進んでいる制度の一つです。2025年3月末時点の加入者数は約862万人、規約数(企業・団体が制度として承認を得た数)は約7,400件となっており、いずれも増加しています。企業年金全体の加入者数も約1,760万人に達しており、企業型DCを中心に制度の利用が広がっています。

【図表1】 企業年金等の制度数・加入者等の推移 (加入者数:万人)
企業年金等の制度数・加入者等の推移 (加入者数:万人)
出所 信託協会・生命保険協会・ JA 共済連「企業年金(確定給付型)の受託概況」(令和7年3月末現在)
iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)
をもとにりそな銀行が作成

企業型DCの加入者数や規約数は年々増加しており、企業年金を活用する企業が着実に増えていることが分かります。この背景には、人材確保や福利厚生の充実を目的として、従業員の老後資産形成を支援する企業が増えていることがあります。企業年金は、一部の大企業だけでなく、中堅・中小企業にも広がりつつあります。

また、企業年金を実施していない中小企業向けの制度として、iDeCo+も利用が広がっています。2025年3月末時点の加入者数は約5.6万人となり、対象従業員数の拡大など制度改正も後押しとなって着実に増加しています。比較的導入しやすい制度として、中小企業にとって有力な選択肢の一つとなっています。

【図表2】 iDeCo+の実施事業主数・加入者数の推移
iDeCo+の実施事業主数・加入者数の推移
国民年金基金連合会 「 iDeCo (個人型確定拠出年金)の加入等の概況 」 各月版を基に、もとにりそな銀行が作成

退職金制度がない企業・中退共のみの企業が確認したいポイント

企業型DCやiDeCo+の利用が広がるなか、自社の退職金制度が現在の採用市場や従業員ニーズに合っているか、一度確認してみることも大切です。

東京都産業労働局の調査によると、大学卒業者が定年退職した場合の退職金は約1,149万円となっています(※1)。もちろん、企業規模や業種によって適切な退職金水準は異なりますが、こうしたデータも参考にしながら、自社の退職給付がどの程度の水準になるのかを把握しておくとよいでしょう。

退職金制度がない企業で退職金を新たに導入する場合は、企業型DCやiDeCo+を活用する方法があります。iDeCo+は、従業員の自助努力による資産形成を企業が後押しできる制度です。将来への安心感を提供する福利厚生施策として活用でき、採用時のアピールや従業員の定着にもつながる可能性があります。

中小企業退職金共済制度(中退共)を導入している企業でも、自社が目指す退職金水準や福利厚生のあり方に応じて、現在の制度に企業型DCやiDeCo+などを組み合わせることも選択肢の一つです。

従業員の将来の安心につながる制度を検討しよう

企業型DCやiDeCo+の利用は着実に拡大しており、従業員の老後資産形成を支援する制度は、福利厚生の充実だけでなく、人材確保の観点からも注目されています。
特に企業型DCにおけるマッチング拠出や、iDeCo+における加入者掛金といった「自分で退職金を増やせる」仕組みは、いわゆる老後2,000万円問題に向けて、従業員自らが「自分の思う安心」のために行動できるものとなっています。
現在は退職金制度がないという企業や、中退共のみを採用している企業でも、自社の制度内容を改めて確認・検討するきっかけとしてみてはいかがでしょうか。

退職金制度は、企業規模や採用方針などによって適した制度が異なるので、制度選びに迷う場合は、専門家へ相談しながら検討を進めることも一つの方法です。
りそなグループでも、企業年金や退職金制度に関するご相談を受け付けています。

(※1)東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」

りそなBiz Actionではこれらの資料もご用意しております。ぜひご活用ください。

上記記事は、本文中に特別な断りがない限り、2026年10月9日時点の内容となります。
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